岸田文雄首相は24日、能登半島地震の被災地を1月に続いて訪れた。厳しい寒さの中で続く、先の見えない避難生活。切々と訴える声に得意の「聞く力」を発揮しようとしたが、物足りなさを感じる被災者もいた。訪問を冷ややかに見つめる住民は、ライフライン復旧や生活再建のめどを早く示すよう注文を付けた。

午前に訪れたのは約90人が身を寄せる穴水町の避難所。被災者が布団の上で首相を待ち受けた。避難所では首相の到着直前になってストーブが片付けられ、トイレに行くのも制限された。70代女性は、普段と異なる「演出」に「訪問の本来の趣旨とは違う気がする」と首をかしげた。

朝市の近くで支援物資を受け取っていた看護師の女性(47)は、自宅のある集落が孤立化し、市中心部にある父親の職場に高校生の次男と身を寄せる。視察の一団を遠目に見ながら「水道はいつ復旧し、仮設住宅にはいつ入れるのか。パフォーマンスはいらない」とつぶやいた。

産経新聞
2024/2/24 17:59
https://www.sankei.com/article/20240224-M7ABTS4RX5JXRD7DP7MUDU66SA/