共産党で初の女性委員長になった田村智子氏。期待は大きいが、課題も少なくない。党員が半減した理由は何か、党名の変更はあるのか──。AERAの単独インタビューに応じた。

――共産党の新委員長に選ばれ、大きな期待がかかっています。今回の人事について、前委員長の志位和夫議長は「田村委員長は、あらゆる面で最も適任の方だということでみんなの意見が一致した」と言われました。ご自身、どうして委員長に選ばれたと思われますか。

田村:選ばれた側からは、それ以上は言えないところがあります。ただ、受け止めということで言えば、私はどうしたら日本共産党を大きくできるか、今の日本の政治を変えるにはどうすればいいかという、ただその思いでやってきたらこうなった――。これが私の実感です。

――委員長になってプレッシャーは?

田村:もちろんプレッシャーはあります。だけれども、「よし、やっていこうじゃないか」という、その決意は固めることができたと思っています。

──共産党の委員長交代は23年ぶりで、初の女性委員長です。

田村:まず「自分ごと」というより、「あぁ、日本共産党にとって新しい歴史が一つ刻まれることになるんだ」と感動しましたね。その上で、日本はジェンダーギャップが大きい国です。女性が感じてきた不利益は、ジェンダーの視点で変えていかなければいけないと思っています。

 一番は、私もそうでしたが、妊娠・出産をして、しばらく活動を抑えなければいけませんでした。社会人であれば、いろんな経験を経て脂が乗った時期に、いったん最前線から身を引かざるを得ない。これを不利益にしないためにどうすればいいのか。党にとっても、日本社会にとっても大きな課題です。

■党員半減の二つの要因

──共産党の党員は1990年に50万人ほどいたのが2020年には27万人と、ほぼ半減しました。理由はどこに?

田村:実は、この問題は1月の党大会で一番の焦点でした。これについて科学的に解明しましたが、大きな要因が二つありました。

まず90年代は、ソ連・東欧の崩壊がありました。日本共産党は、他国に軍事介入し自国で民主主義を破壊し弾圧するソ連共産党を、「社会主義ではない」と厳しく批判してきました。だけど、一緒くたにされました。

 あと一つは、その困難な時代の一時期に、党員拡大より機関紙「しんぶん赤旗」の読者を増やすことに軸を置き、党員拡大の努力を弱めたことです。入党は政治を変革していくという立場に立つことですから、「しんぶん赤旗」を読んでいただくのとは違います。この点は党中央の方針の誤りだったと、党大会で反省しました。

──その党大会で、共産党が目指す社会を明確に打ち出したと聞きます。

田村:そうです。私たちが目指すのは「人間の自由が全面的に花開く社会」です。格差や貧困、非正規雇用。これらは資本主義の利益第一主義がもたらしたもの。目先の利益だけを追い、人間を犠牲にした結果です。それでいいのかという問いかけをし、その害悪をなくしながら資本主義を乗り越えていけば、自由で希望が持てる社会になると思います。

――一方、共産党として変わらないことは?

田村:綱領の路線は変えてはダメだし、変えたら共産党ではなくなります。柱になっているのは、日米安保条約の廃棄です。一方的にアメリカの言いなりになり、顔色を伺っている政治がいいのかと。憲法の立場に立った平和外交が求められています。

 天皇の制度は、現憲法の厳守が何より大切です。人間の平等という原則と両立するものではないと考えますが、その解決には主権者である国民の総意に委ねるという立場です。

■裏金の全容解明を追求

──ただ「共産党」の名称にアレルギーを持っている人は少なくありません。党名の変更は?

田村:私たちが目指すのは、「人間の自由が花開く社会主義、共産主義」だと語れるところまでいま来ました。逆に、共産党の共産党たるゆえんを堂々と魅力を持って語る時代がやってきたのです。ここで、名前を変えるなんてありえません。

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AERA.dot
2/11(日) 9:32配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e272f539b55ddc230f3e652cbd8aeb5746dda655