自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、清和政策研究会(安倍派)が2022年以降、政治資金収支報告書へのパーティー券収入の記載内容について弁護士から「法令違反の疑いがある」と指摘されていたことが判明した。安倍派の議員が毎日新聞に証言した。安倍派は23年のパーティー開催時に議員側へのノルマ超過分収入のキックバック(還流)を取りやめており、東京地検特捜部は取り扱い変更の経緯や派閥幹部の違法性の認識を慎重に調べるとみられる。

 この議員によると、法令違反の指摘を受けたのは22年11月、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が安倍派を含む自民5派閥についてパーティー券収入が過少に記載されている疑惑を報道した後。自民のコンプライアンス担当の弁護士が、安倍派側に対して法令違反の疑いを指摘したという。

 違法性を指摘されたのは報告書に記載義務がある20万円超の大口購入者について、派閥側の収支報告書に一部記載がなく、購入した政治団体側の収支報告書に記載された購入金額と整合性が取れない点だった。

 安倍派は18~22年に毎年1回パーティーを開いており、所属議員1人当たり数十万から数百万円の販売割り当て(ノルマ)があった。関係者によると、ノルマ超過分の議員側への還流は長年行われていたが、ノルマ超過分の収入と、議員側への還流分の支出がいずれも派閥の収支報告書に記載されていなかった。直近5年間で約5億円が裏金化していた疑いがある。

 過少記載が生じた背景には、こうした還流分の不記載があったとみられる。

 弁護士からの指摘は還流について言及したものではなかったが、安倍派は議員側への還流を取りやめることを決定。今年5月のパーティー分の還流は行われなかった。

 特捜部はこれまで、派閥の会計責任者の他に裏金化が疑われる議員側への事情聴取を実施してきた。派閥の事務を取り仕切る事務総長経験者らにも任意の事情聴取を要請しており、詳しい説明を求めるとみられる。【志村一也、二村祐士朗、寺田剛】

毎日新聞
2023/12/23 05:00
https://mainichi.jp/articles/20231222/k00/00m/040/324000c