自民党安倍派の政治資金パーティー収入の裏金化疑惑を巡り、岸田文雄首相(党総裁)は政権内で浮上していた政務三役からの同派一掃案を見送る方向で調整に入った。複数の政府・与党関係者が12日、明らかにした。閣僚4人と副大臣5人は交代させる一方、政務官は疑惑への関与が薄ければ続投させる意向。14日にも人事に踏み切る。

 首相は12日、人事について、首相官邸で記者団に「適切なタイミングで対応したい。この考えは変わっていない」と語った。13日夜に記者会見し、規模や時期について説明する見通しだ。

 安倍派所属の政務三役は松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相、副大臣5人に加え、政務官6人の計15人。鈴木、宮下両氏らは裏金の受領を否定しているが、東京地検特捜部の捜査がどこまで広がるか読み切れないため、政権内では全員を交代させてリスクを減らすべきだとの声が出ている。
 周辺によると、首相は政務三役について「全員交代を求めることはできない」と言明。「疑惑への関わりを精査する。検察に立件される可能性が高いなら代える」と語った。後任人事の難航が予想される中、安倍派の反発が強まれば政権が揺らぎかねないと懸念したとみられる。
 政務官6人には疑惑への関与の度合いを自ら精査し、進退を「自主判断」させる案が出ている。副大臣5人については閣僚と同様の扱いとする方向で、松野氏は既に一部の副大臣に「自主的に辞表を出してほしい」と伝えた。

時事通信
2023年12月12日19時55分
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