自民党の派閥のパーティーを巡る問題で、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)がパーティー券販売ノルマの超過分を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いについて、東京地検特捜部が安倍派の事務総長経験者の任意での事情聴取を検討していることが4日、関係者への取材で分かった。不記載の経緯について認識などを慎重に確認するとみられる。

特捜部は全国から応援検事を集め、捜査体制を拡充。臨時国会が閉会する12月中旬以降、安倍派の事務総長経験者のほか、超過分のキックバック(還流)を受けた一部の所属議員や関連団体の会計責任者に対する事情聴取も検討している。

自民党の派閥はパーティー券販売ノルマの超過分を所属議員に還流するのが慣例。安倍派の平成30年~令和4年分の政治資金収支報告書には、超過分のパーティー収入や議員への還流分が記載されていなかった疑いがあり、不記載は5年間で数億円に上る恐れがある。

関係者によると、特捜部は安倍派の会計責任者らを複数回にわたり任意で事情聴取。派閥全体の責任者である事務総長についても不記載の経緯や認識について確認する必要があるとみて調整を進めているもようだ。

不記載が疑われている平成30年~令和4年に事務総長を務めたのは就任順に下村博文元文科相、松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、高木毅国会対策委員長。

政治資金規正法では、収支報告書の提出義務が会計責任者にあると規定。不記載は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金で、共謀が成立すれば、会計責任者以外でも罪に問われる。

産経新聞
2023/12/5 01:00
https://www.sankei.com/article/20231205-EG7VTHD6TNOQXFI3KFBJUYBR4I/?201286