“黒いカネ”は永田町だけではなかった──。自民党の5派閥がパーティー収入計約4000万円分を政治資金収支報告書に記載していなかった裏金疑惑。26日付「しんぶん赤旗日曜版」は、東京の自民党でも同様の手口で不記載が横行していると報じた。裏金疑惑は底なしの様相を呈してきた。

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 政治資金規正法は1回のパーティーにつき、20万円超のパー券購入者を政治資金収支報告書に記載するよう義務付けている。東京都が公表した収支報告書を赤旗編集部が調べたところ、「都議会自民党」の不記載は2019年と22年の2年間で計16件、延べ13団体もあった。不記載の総額は計448万円に上る。

 例えば、政治団体「東京都石油政治連盟」は19年と22年、都議会自民党のパーティー券を各30万円購入しているが、都議会自民の収支報告書の大口購入者欄には同連盟の記載がない。

「自民党都連」でも22年の不記載は7件、計380万円あり、東京の自民党で約800万円が不記載だ。

 5派閥の会計責任者らを刑事告発した神戸学院大の上脇博之教授は言う。

「今回、赤旗の調査で判明したのは自民党の東京のケースですが、国会議員だけでなく、地方でも大なり小なり、同じ手口が蔓延している可能性があります。5派閥に加え、東京でも複数年にわたり不記載があったことから、やはり、単なるウッカリミスではあり得ないと思います。何らかの“うまみ”があった可能性があり、派閥などの組織か、議員個人かはともかく、裏金がつくられていた疑念は深まったと言えます」

上脇博之教授「見つかったのは氷山の一角」

告発で指摘された5派閥は慌てて不記載を訂正。茂木幹事長は「同じ誤りが起こらないように努めたい」と語り、“訂正”だけで、早期幕引きを図るつもりだ。

「見つかったのは氷山の一角です。地方によっては、政治団体の支出がネット公開されていないケースもあり、私や赤旗も調べ切れていません。また、企業や個人のパー券購入は収支報告の義務がなく、裏金にされていても判明しようがないのです」(上脇博之教授)

 上脇教授の告発を受け、東京地検特捜部は各派閥の担当者を任意聴取している。「本腰を入れているのか、特捜はしつこく調べているようです。ある派閥の事務員は、かなりまいっているようです」(検察担当記者)という。

「法的責任の観点から特捜の捜査は重要で注目しています。しかし、それとは別に政治的な説明責任が問われています。自民党は指摘された不記載を訂正してお茶を濁すつもりなのでしょうか。派閥だけでなく、地方組織も含め全党的に徹底調査を行い、ウミを出し切るべきです」(上脇博之教授)

 早期幕引きは許されない。

日刊ゲンダイ
11/24(金) 15:40配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/8dc44a1fe4216c3196550a100e1f575bacef4479