臨時国会が始まり、国民生活を支えるための経済対策に注目が集まっているなか、閣僚らの賃上げをする法案が提出されていた。国会議員の給与(歳費)は年収2200万円程度にもなる。それが閣僚ともなれば、年収4千万円とさらに高額になる。物価高などで生活が苦しくなっている国民の不満が噴出しているのに、なぜ首相らの給料を上げるという考えになるのだろうか。

【表】率先して賃上げ? 岸田首相と大臣の賃上げ額はこんな感じに

 20日に始まった臨時国会に「特別職の職員の給与に関する法律」の一部を改正する法案が提出された。

■年間給与は首相で約4千万円、大臣で約3千万円

 特別職には、自衛官や裁判官などのほか首相や大臣も含まれる。法案を見ると、首相の給与月額(俸給月額)は201万円から201万6千円に、大臣は146万6千円から147万円に上げるとされている。ボーナス(期末手当)も3.3カ月分だったのが、3.4カ月分に上がる。

 いったいいくらの賃上げになるのか、法案を担当する内閣人事局に話を聞いた。

 まずは閣僚の現在の年間給与を紹介しておこう。閣僚は前出した給与月額とボーナスの他に、給与月額の20%に当たる金額を地域手当としてもらっている。これらを合計すると、年間の給与額は首相で約4015万円、大臣で約2929万円になるという。

 そして今回の法案が成立すると、首相が45万円程度の賃上げで約4060万円に、大臣が32万円程度の賃上げで約2961万円になるようだ。ただ、首相は3割、大臣は2割を国庫に自主返納しているので、それを踏まえると、計算上、首相で31万円程度、大臣で26万円程度の賃上げになる。

■与党議員「賃上げを率先してやらないといけない」

 報道によると、自民党や公明党の政治家からは「返納しているのだから全く問題ない」「政府は賃上げを掲げているので率先してやらないといけない」といった声があがっているという。

 返納しているとはいえ、賃上げの必要性があるほど低い額になるわけではないだろう。焦点となっている減税についても決まっていない状況で、自分たちの給料は率先して上げるとなれば、国民から怒りや批判の声が出てくることはわかっていそうなものだが。それでも特別職の給料を上げる理由は何なのだろうか。

 内閣人事局の担当者に尋ねると、

「人事院の勧告により、一般職の指定職の給与があがるため」

 と説明する。

「指定職」とは一般職国家公務員の幹部のこと。本省の部長・審議官級以上や研究所長、病院長などが該当する。人事院は今年8月に、国家公務員の一般職の給与を上げるように勧告している。これを受けて10月、政府は人事院の勧告通りに初任給や月給などを上げることを決定し、今国会にその法案が出されている。

 しかし、人事院の勧告には特別職についての言及はない。

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AERA.dot
10/31(火) 11:32配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/10eb5dceb160d314358642b44503bedde6553b64