日本維新の会の池下卓衆院議員(48)=大阪10区=は、地元・大阪府高槻市の市議だった2人を市議の任期中に公設秘書として雇っていた。兼職が原則的に禁止されたはずの公設秘書。「二重報酬」の実態を探る中で浮き彫りになったのは「法の抜け道」だった。

国会議員が作ったルール

 「国会議員の秘書経験があり、地元を知っている2人にお手伝いしてもらうことになった。法律でも秘書の兼業はかまわないと確かあったと思う」

 池下氏は、市議だった甲斐(かい)隆志氏(59)と市来(いちき)隼氏(36)を公設秘書に迎えた理由をこう語った。

 大阪府議だった池下氏は3期目の途中で辞職し、2021年10月の衆院選で大阪10区から出馬。立憲民主党副代表だった辻元清美氏らを破って初当選した。

 池下氏によると、政務活動や事務所の業務が急激に増えたため、国会議員の秘書経験を持つ2人を公設秘書として採用した。2人は高槻市内の地元事務所を拠点に業務をこなしていたという。

 公設秘書を巡っては02年ごろから、辻元氏ら与野党の議員が勤務実態のない秘書の給与を詐取する事件が相次いで発覚。あいまいな雇用実態を解消しようと、04年に議員立法の国会議員秘書給与法の改正で兼職が原則禁止された。しかし、議員が許可すれば例外的に兼職できるという「抜け道」も設けられた。「議員の落選と同時に失職しかねない不安定な秘書の生活保障」(秘書OB)が考慮されたという。

秘書の仕事「片手間ではムリ」

 秘書の兼職先は農業やNPO法人職員などさまざまで一律に問題視されるものではないが、そもそも選挙で選ばれた公職の市議という立場との「二足のわらじ」は国民の理解を得…

毎日新聞
2023/9/18 05:01
https://mainichi.jp/articles/20230917/k00/00m/040/199000c