学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の公文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(52)が同省の佐川宣寿(のぶひさ)・元理財局長に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が13日、大阪高裁であった。黒野功久(よしひさ)裁判長は、雅子さん側が申請した佐川氏本人や、財務省幹部ら4人への尋問を実施しないと決め、即日結審した。判決は12月19日。

 改ざんを主導した佐川氏の尋問は1審でも申請されたが、大阪地裁は却下し、賠償請求も棄却していた。この日の口頭弁論で雅子さんは「私の希望は佐川さんの説明と謝罪です。法廷に呼び出してください」と訴えたが、黒野裁判長は「必要性がない」と述べた。

 雅子さんは閉廷後、報道陣に「尋問が認められなかったのは残念。何の説明もせず、責任を取らないことが許されていいのか」と憤った。

 佐川氏は2018年3月、国会の証人喚問で改ざんの経緯や理由を問われたが、大阪地検の捜査を受けていることを理由に証言を繰り返し拒否していた。地検はその後、佐川氏を不起訴にしている。【鈴木拓也、安元久美子】

毎日新聞
2023/9/13 18:30
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