小誌の手元にある〈US Tax Report〉と題する35枚にわたる文書。米国内国歳入庁に提出された税務申告書だ。提出者の名前は〈HAK JA HAN〉。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の韓鶴子総裁(80)である。この文書を紐解くと……。

5月の合同結婚式に約2600人が参加

 解散命令請求の目処が立たぬ中、統一教会が勢いを取り戻しつつある。

 5月7日には韓国で合同結婚式を開催。日本人約550人を含む約2600人が参加して“祝福”を受けた。

「韓総裁は今回の合同結婚式の中で、総工費500億円超の教団施設『天苑宮』への“入宮式”を2024年に延期することを匂わせました。これは資金集めのために工期を延ばし、日本人信者からの献金集めに拍車をかける狙いがあると言われています」(在韓ジャーナリスト・柳錫氏)

 献金の使途を巡っては、小誌はこれまで米国ラスベガスでの“カジノ疑惑”を報じてきた。昨年11月2日発売号では、韓氏ら幹部12人が08年から11年にかけて総額64億円(掲載時のレート)をカジノに注ぎ込んでいたことを報道。同年12月28日発売号では、日本人信者たちが総額12億円(同前)にも上る献金をラスベガスに持参し、韓氏ら幹部の“カジノ軍資金”になっていた事実を詳報した。

 今回、小誌は韓氏が多額のカネでギャンブルに興じていたことを裏付ける新たな資料を入手。それが冒頭の韓氏個人の税務申告書だ。11年から13年までの米国内での“資金の流れ”が詳細に記されている。

 文書の中に〈Gambling Losses〉(ギャンブルによる損失)という項目がある。確認できる金額だけでも11年に約320万ドル、13年に約95万ドル。合わせて約4015万ドル――現在のレートで5.7億円に上る大金である。

 統一教会関係者が語る。

「実際はこれ以上の金額がカジノに消えたと考えていい。米国ではギャンブルの損失分の税控除が受けられますが、『勝った金額以下』という制限付き。文書には損失額と同額で〈Other income〉(その他収入)つまり“カジノ利益”が計上されている。これは“控除される額”なので、実際の損失額はもっと大きくなる」

日本から約2.5億円の〈給料と賃金〉を…

 さらに注目すべきは“カジノの原資”にもなっている韓氏の収入だ。例えば13年の〈Total Income〉(収入総額)として記載されているのは約712万ドル。現在のレートで9.8億円超という莫大な金額である。そして、韓氏が当時居住していた米国以外の“海外”からの収入として、次の記載があった。

〈Salary and Wages Japan 1,858,982〉

 これは米国居住者が海外での収入について二重課税を防ぐための申告欄。つまり、韓氏は13年に日本から約186万ドル、現在のレートで約2.5億円の〈給料と賃金〉を受け取っていたというわけである。

「日本人信者が現地まで運んだ献金に加え、統一教会の日本本部から“給料”という形で韓氏に渡ったカネまでもポケットマネーとしてカジノの“軍資金”になっていた可能性が高いのです」(前出・教団関係者)

 統一教会の日本本部に韓氏への“給料”支払いについて聞くと、「支払われたことは事実。ただし、給与ではなく報酬」などとした上で、概ねこう回答した。

「当法人の牧会者と信者に対する(1)信仰上の指導と教育、(2)原理教育、(3)信仰教材(真の父母経、平和経、天聖経等)提供、(4)牧会指導等に対する報酬として支払われた」

 送金ルートの全容が解明されない限り、日本は韓氏にとって“都合のいい金庫”であり続ける。

文春オンライン
8/13(日) 11:12配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/eb559ae6d6a1f408468f962395ed7be3ccbdfd60