ジャーナリストの鈴木エイト氏が9日、ABEMA TVのニュース番組「Abema Prime」に出演。安倍晋三元首相銃撃事件で殺人などの罪で起訴された山上徹也被告から、事件直前にメッセージを受け取っていたことを明かした。

 メッセージはツイッターのDMによって寄せられ、届いたのは事件(昨年7月8日)の9日前。

 内容は「やや日刊カルト新聞(エイト氏によるニュースサイト)を従前から見ていました。初めまして。家族に信者がおり、統一教会をウオッチしているものです。やや日刊カルト新聞を始め、エイト氏の日ごろの活動には頭が下がります。最近の統一教会ですが、7月10日、日曜日にさいたま市民会館、キャパ2000人で何らかの催しがある旨、浦和家庭教会のホームページの礼拝通報から知りました。コロナ禍で大規模な集会は控えてきた統一教会ですが、何年ぶりかに活動を始めるのではないかと懸念しております。この大会について、参加者とご存知の事はないでしょうか?」というものだった。

 これにエイト氏は「情報提供ありがとうございます。7月10日と言えば投票日ですね。6月中旬には世界本部長(尹ヨン鎬世界宣教本部長)が来日していました。選挙も近いですし何かあるかもしれません。キャパ2千人規模だと祝福関係かもしれません。私の方でもチェックしておきます」と返信。山上被告は「ありがとうございます。よろしくお願いします」と応じたが、これ以降のやり取りはない。

 エイト氏は事件が起きてからしばらくの間、山上被告とやり取りしていたことに気づかなかったといい「今年1月に初めて山上被告の弁護人から聞かされて知ったんですね。彼のアカウントが凍結されてしまっていて、確認できなかったというのもあって。当初は『メッセージを送ったけど、返事がなかったって言ってましたよ』っていうのを聞いてかなり落ち込んでですね。もしメッセージの内容が事件を示唆するようなものであったら、事件を止められる存在だったのではないか。安倍晋三という人間を殺されずに済んだのではないか。統一教会の被害者を犯罪者にすることを止められたのではないかってことでかなり落ち込んだ」と振り返った。

 結局、事件をほのめかす内容ではなかったが「彼が僕に聞いた内容は大したことないんですけど、一番重要なのは、彼が僕の書いてきた記事をすべて読んでいたっていうことなんですね。なので、安倍晋三さんを中心とする政治家と統一教会との関係を時系列を追ってリアルタイムで彼はずっと知っていたっていうことなんです」と指摘。

その上で「つまり、おととし、安倍晋三さんがビデオメッセージを教団の関連団体に送った。あそこが初めてじゃなくて、あそこに至るまでの道程をすべてわかったうえであのビデオメッセージを見て事件を起こしたってことなので、彼がそれを知ったのは僕の記事だ、安倍晋三を狙ったのは鈴木エイトの記事だっていうことになってしまう。より僕の書いた記事の確度が問われる事態になったなというのは思いました」と感想を述べた。

 山上被告のツイッターアカウントは偽名であり、すぐに気づくことは困難だったが「ただ、彼のツイッターアカウントが特定されたのが事件の翌週で、3日ぐらいで凍結された。その間に本来は気づくべきだったんですけど、そこで気づけなかった僕の落ち度ではあります」と悔やんだ。

 山上被告を巡っては、来年にも開かれる第1回公判に向け、今月12日に初めて行われる「公判前整理手続き」に出席する見通し。公判前整理手続きは裁判員裁判の対象事件で、最初の公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が証拠などを確認した上で争点を明確にし、裁判の計画を立てるための手続きで、今回は非公開で行われる。

東スポWEB
6/9(金) 23:21
https://news.yahoo.co.jp/articles/421cf169892356ffcf48c945b4b23ab63e4e7bb4