自民党は、衆院小選挙区定数の「10増10減」に伴う新山口3区(下関市など)の候補者調整を巡り、林芳正外相(現山口3区)を公認候補予定者に選任する調整に入った。党関係者が明らかにした。新山口3区を巡っては、林氏と、銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の後継として4月の補選に勝利した吉田真次氏(現山口4区)との間で調整が続いていた。

 次期衆院選から適用される新区割りで、山口県は選挙区が4から3に減少し、1人が比例代表に回るなどの調整が必要となる。

 林氏は下関市に地盤を持ち、農相や文部科学相を歴任したほか、岸田文雄首相が率いる岸田派ではナンバー2の「座長」を務める。こうしたことから「総合的に見て林氏」(党幹部)との見方が強かったが、党本部は安倍派の反発も考慮して慎重に選定を進めてきた。吉田氏側は、安倍氏の妻・昭恵氏が党幹部との会談を重ねるなど選挙区での処遇を要望。7日には、安倍派の塩谷立会長代理が首相官邸で首相に「直談判」したが、首相は「非常に難しい判断だ」と述べた。

 7日は、同党山口県連の友田有幹事長らが党本部で森山裕選対委員長と面会し、同県選出議員の意向などを伝達。森山氏は「早急に調整させていただく」と応じた。吉田氏側には、無所属でも新3区から出馬する強硬論もあるが、党幹部は「やれるものならやったらいい」と突き放した。【飼手勇介、脇山隆俊】

毎日新聞
2023/6/7 21:06
https://mainichi.jp/articles/20230607/k00/00m/010/308000c