【ニューヨーク=杉藤貴浩】米誌タイム(電子版)は、岸田文雄首相が単独で掲載された5月22、29日号の表紙を発表した。「日本の選択」と題され、「首相は数十年の平和主義を捨て、自国を真の軍事大国にすることを望む」と紹介している。

 記事は先月28日に同誌が首相公邸で単独取材したもので、岸田政権での国防費増大や米国との同盟強化などの政策に触れ、「世界第3の経済大国を、それに見合う軍事的影響力を持った大国に戻すことに着手した」と指摘した。
 また、こうした変革は「同じく右派の自民党に所属した安倍晋三元首相が唱えてきた」と言及した上で「タカ派的だった安倍氏が(国論を)二分した一方、岸田氏の持つハト派の顔が大きな抵抗なしに安保改革を可能にした」と評した。
 ただ、日本の軍事力強化が周辺の安全保障環境を不安定化させ、中国との摩擦を強める恐れにも言及。「岸田氏の長年の公約である核なき世界への努力と相いれないと考える人々もいる」と指摘した。
 首相は先月、同誌の「世界で最も影響力がある100人」の1人にも選ばれている。

東京新聞
2023年5月11日 09時50分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/249250