岸田首相をトップとする「こども未来戦略会議」が7日に始動し、少子化対策の財源を巡る議論が本格化した。社会保険料の引き上げを軸に検討が進む見通しで、政府は会議を通じ、経済界や労働団体のほか幅広い世代に負担増への理解を得たい考えだ。

 「世代や立場を超えた国民一人一人の理解と協力を欠くことはできない」

 首相は7日の初会合で、社会全体で「次元の異なる少子化対策」を支える必要性を訴えた。首相が「理解と協力」を強調したのは、財源確保には一定の負担増が避けられないためだ。

 政府内では、年金や医療、介護、雇用の各種社会保険料の国民1人当たりの月額保険料を引き上げ、上乗せ分を財源とする案が有力視されている。幅広い立場の人から薄く広く財源を集められるためだが、会社員の場合は労使で保険料を納めるため、労使とも負担が増える。会議のメンバーに経団連など経済団体や連合のトップを起用した人選には、負担増への理解を得たい思惑がにじむ。

 また、社会保険料を上乗せする場合は、子どものいない人や子育てを終えた人たちの負担増にもつながる。政府は会議の有識者に、子育て当事者であるフリーアナウンサーの中野美奈子氏や、NPO法人「子育てひろば全国連絡協議会」の奥山千鶴子理事長ら、発信力のある著名人も加えた。首相周辺は「負担増の理解を得るためには、経済的な事情も含めて子育ての大変さを語ってもらうことが重要だ」と解説する。

 もっとも、政府内では「社会保険料の上乗せだけでは足りない」との見方がもっぱらだ。上乗せ額が月数百円程度の場合、確保できる財源は1兆円程度とされる。ただ、3月末の「たたき台」に盛り込まれた政策のうち、所得制限撤廃や支給対象年齢引き上げなどの児童手当の拡充策だけでも、必要経費は年2・5兆円を超える可能性がある。すべての施策を実現するためには、最大で年8兆円が必要とも指摘される。

「国債も選択肢」…官房副長官
 他の財源案を巡っては、首相が消費増税や教育国債の発行に慎重姿勢を示す一方、木原誠二官房副長官は7日のインターネット番組で、国債発行について「選択肢としてはある」と語った。こども未来戦略会議の初会合では、「恒久的な財源確保が重要だ」との意見が相次いだが、具体的な方策についての議論までは進まなかった。少子化対策の中身についても、複数の有識者から「本当に必要な人に支給すべきだ」などと児童手当の所得制限撤廃に慎重な意見が出された。

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読売新聞
4/8(土) 19:42
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