不毛な論争はいつまで続くのか。放送法を巡る総務省の行政文書について高市早苗経済安保相は連日、自身に関する記載内容を全面否定。14日も衆院本会議で「問題の本質は、私の国会答弁が礒崎総理補佐官(当時)の影響を受けたか否かだ」と吠えた。

 高市氏は安倍政権の総務相時代の2015年5月、「一つの番組でも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」と答弁。前夜に「担当課から送られてきた案にペンを入れた」との言い分を立証するため、当時のメールなどの資料を国会に提出する用意があると表明した。

 大見えを切ったところで論点ズラシに過ぎない。文書には15年2月の担当局長による説明(レク)で礒崎氏からの伝言を聞かされたと記されている。この記述を明確に打ち消してこそ「問題の本質」は解消されたと言えよう。

 総務省側が「レクがあった可能性が高い」と認めても、高市氏は「レクは受けていない」の一点張り。本会議に先立つ閣議後会見で、総務省や国会事務所に当時の日程記録が残っていないと明らかにし、確認するすべはないのにレクの実施をかたくなに否定し続ける。

 この水掛け論に終止符を打てるとすれば、高市氏の日記くらいなものだ。レクが実施されたとされる当日の記載から「アリバイ」を証明できるかもしれない。95年に出版した政治家として初の著書名は「高市早苗のぶっとび永田町日記」。02年1月~03年10月には自身のHPでコラム「永田町日記」「経済産業副大臣日記」を連載した。

■過去に「机の中を開けて親に読まれた」と答弁

 06年に少子化・男女共同参画相として初入閣。同年11月には教育基本法の改正審議の過程で「自分の個室をもらえるようになってからも勝手に私の机の中を開けて日記も全部親は読んでいました」と打ち明けた。幸いにも日記を残していそうだ。期待を込めて高市事務所を直撃した。

「大人になってから本人は日記をつけていません。著書も出版社がつけたタイトル。コラムも日記とはいえない」(担当者)

 ちなみに、20年3月に安倍内閣の総務相だった高市氏はこう答弁していた。

「記録を残すことについては、かなり総務省は細かくやっている。今まで予算委員会等で各役所さまざまな指摘を受けてきた中で、総務省はここまで残しているかというほど記録は残している」

 ここまで持ち上げておきながら、都合の悪い記録が出てくると、とことん落とす。共同通信による最新の世論調査では、73%の人が高市氏の「捏造だ」との説明に「納得できない」と答えている。

日刊ゲンダイ
3/15(水) 14:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/b4762cf8e987c7cc6306de7a4a681c91cab0b49e