結婚や家庭のあり方が根底から揺らぐ。そう訴えて世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体が反対してきた制度がある。性的少数者のカップルを自治体が「結婚に相当する関係」と認める同性パートナーシップだ。2015年に東京都渋谷区で初めて導入され、全国250を超える自治体に広がる。一方、導入を求める声が上がった地方の議会や役所に、教団関係者が反対を働きかける動きも各地で起きている。

市議のもとに一通の封書

 その役員名簿には、北海道議や旭川市議の名が顧問として並んでいた。「同性婚問題を考える旭川の会」と会の名が記されていた。

 19年末、ある市議のもとに、この会の事務局長を差出人とする一通の封書が届いた。「ぜひ当会の顧問に就任していただきたく……」という依頼文と、半年前に設立したという会の資料が入っていた。「同性婚を認めない世論を形成するために結成した」。設立趣旨にはそうあった。

 「同性パートナーシップ制度は憲法違反」「同性婚運動に隠された危険な思想」。激しい文言が並ぶ資料を見て市議は顧問就任を断った。「保守的な思想を持っていると思われたのかもしれないが、とても賛同できなかった」と振り返る。

 差出人の男性は、名簿では「事務局長」としか書かれていないが、教団の地元教会幹部だった。会は、この制度や同性婚に反対する勉強会を度々開催し、市議や市幹部も出席していた。

 22年3月の勉強会の案内を市の部長に直接手渡したのは、顧問の一人で、かつて教団の信者でもあった自民党の…

毎日新聞
2023/3/9 11:06
https://mainichi.jp/articles/20230309/k00/00m/010/056000c