2021年の衆院選岐阜5区に立憲民主党公認で出馬して落選後、今春の岐阜県議選に自民推薦での立候補を表明した今井瑠々(るる)氏(26)の関連政治団体が2021年、気功や催眠療法などを取り入れたセミナーの参加費などを政治活動費として支出していたことが判明した。専門家は「政治資金の使途として不適切」と指摘する。

 資金管理団体「今井るる後援会」が県選挙管理委員会に提出した21年分の政治資金収支報告書によると、同年12月22日に「セミナー代」3万3100円を政治活動費として支出した。セミナーは東京都中野区の施術会社が運営し、今井氏個人宛てに領収書を発行。同社は毎日新聞の取材にセミナーの詳細や今井氏の受講の有無を明らかにしなかったが、ウェブサイトでは施術について「整体、気功と他者メンタルトレーニングを同時に行う事によりフィジカル&メンタルに同時にアプローチして人の潜在能力を開発する」などとうたっており、政治活動に直接結びつく内容か疑問が残る。

 また、今井氏が支部長だった立憲民主党岐阜県第5区総支部の同年の政治資金収支報告書によると、セミナー代の支出と同じ日に「電車代」計2万2090円が政治活動費として支出されていた。多治見と東京・高円寺で発行された領収書から、参加に伴う往復の交通費とみられる。総支部の同年の収入は1650万円で、うち1410万円は党本部から供与された交付金だった。税金が原資の政党交付金が今井氏の個人的な支出に充当された可能性がある。

研究者「私的な支出、使途不適切」

 政治資金規正法と政党助成法には、政治資金や政党交付金の使途を制限する規定がない。しかし、政治資金を巡る問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)は「これらは私的な支出と言わざるを得ず、政治資金の使途として不適切。正当な支出と主張するなら説明責任を果たすべきだ」と批判する。

 今井氏は毎日新聞の取材に「政治資金規正法にのっとり、適宜適切に対応させていただいている」などと回答。セミナーを含む個別の支出の妥当性などには言及しなかった。

 今井氏の自民への転身を受け、立憲は同氏を除籍処分とした。党内には今井氏に活動資金の返還を求める声もある。【太田圭介】

毎日新聞
2023/1/19 19:04
https://mainichi.jp/articles/20230119/k00/00m/010/239000c