高市早苗経済安全保障担当相が会合の場で、「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」と発言した、しないをめぐる問題。高市氏は否定し、最初にSNSに発信した県議もその後、「撤回」するという展開に。では、あの発信はなんだったのか。真相を確かめるべく、会合に参加した複数の議員に話を聞くと、新たな証言が出てきた。

【式次第入手】高市大臣の問題発言があったとされる会合の中身とは?

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 ことの発端は10月2日に投稿された三重県の小林貴虎県議のツイートだった。

<国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという。今日の講演で伺った話。ソースは以前三重の政治大学院でもご講演頂いた事のある現職>


 この発言に対して、<何を根拠に言っているのか>、<差別的な発言>などと批判が噴出。SNS上で“炎上”した。そして、4日に小林県議は<皆さん非常に関心が高い様なのでお答えすることにしました>とツイートしたうえで、こう打ち明けた。

<私が総理大臣になって頂きたいと強く願っている高市早苗先生が、政府の調査結果としてお伝えいただいた内容です>

<ウクライナ戦争で明らかになった様に情報戦争の時代です。我が国も安全保障上取り組むべき課題だと言うお話でした>


 インターネット空間における安全保障は重要な政策課題の一つ。激しい賛否を巻き起こした安倍元首相の国葬について、国内の世論が海外から“操作”されていたとなれば深刻な問題である。SNS上には高市氏に説明を求める声が多数あがった。

 そうした動きを受け、高市氏は4日、自身のツイッターでこう反応した。

<腕の耐え難い痛みでMRI検査を受けている間に、不正確な情報が。日本には情報操作(偽情報)対策の法律が無いので、政府が調査をすることは出来ません。海外機関による調査情報の収集は可能ですが。国防上の懸念もあり、法整備検討の必要性は3年前に党から提案しました。>

 その後、事態が急展開する。

 5日、小林県議が委員長を務める県議会の委員会では、委員からツイートした内容について説明するよう求められ、委員会は紛糾。その後、4時間以上、議事が止まり、小林県議は委員長を辞任した。

 翌6日に小林県議は記者会見を開き、「『政府の調査結果に基づいて』と説明いたしましたが、誤りでした」「訂正したいと思います」と発言。最終的には「撤回」した。ただ、正しい内容については「クローズド(非公開)の会だったので具体的な話はできない」などとして明かさなかった。

 そして7日には高市氏が記者会見で「(会合は)非公開とされている。私の講演の内容をお話しすることはない」としたが、<8割が大陸から>の発言については「そのような発言をすることはない」、「そもそも大陸という言葉は使わない」などと否定した。

 話の内容は言えないが、8割発言はなかった――。

 では、実際はどういう発言だったのかを確認すべく、当日の会合に参加した複数の議員らに話を聞いた。

 まず、高市氏が発言したのは、名古屋駅前にある会議場で開かれた「日本会議東海地方議員連盟設立総会」の場だった。

 総会の式次第を見ると、「安倍元首相への黙とう」「国歌斉唱および国旗儀礼」から始まり、「開会あいさつ」「来賓あいさつ」「議長選出」「議事」「閉会のあいさつ」と続く。そして、第二部の「記念講演」として「高市早苗(衆議院議員・経済安全保障担当大臣)」と書かれていた。講演の題目は「日本の針路について」。

 参加者らの話をまとめると、180人近く入る会場に、日本会議と関係のある議員や会員約150人が集まった。会場の演台の横には、安倍元首相の写真が置かれ、会場の前3列に地方議員が座っていたという。

 総会の司会を務め、一部始終を見ていたという愛知県議はこう説明する。

「私は高市大臣に『本日の演題は日本の針路とさせてもらっていますが、思うところをお話しください』と話を向けました。経済安保の話を主にしていました。忙しかったため断片的な記憶しかないんですが、問題になっている発言は記憶にはないですね」

2に続く

AERA
10/8(土) 8:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/8eaafdd55174facf4323e0b2017396048a9f0ac7