安倍晋三元首相は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を戦略的に展開し、平成24年12月の第2次政権発足以降、80カ国・地域(延べ176カ国・地域)を訪問した。首脳間の個人的な信頼関係を構築しながら各国との関係強化を図り、日本の国際的地位を飛躍的に高めた。

安倍氏の功績の一つは、日本の旧民主党政権とオバマ政権下で冷え込んだ日米関係を修復し、トランプ前大統領と蜜月関係を築いて日米同盟を「新たなレベルに高めた」(ブリンケン米国務長官)ことだ。強固な日米同盟を基軸にして、台頭する中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を提唱した。

FOIPの要となったのが、安倍氏が中心的役割を果たした日米豪印の協力枠組み「クアッド」だ。特に「未来の大国」であるインドを引き込むため、首脳間の相互往来を重ねて2国間関係の強化に尽力した。安倍氏が死去した際、いち早く国を挙げて喪に服すと表明したのはインドだった。

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