《感動した》《心のこもった言葉に涙があふれた》

 安倍晋三元首相の国葬で友人代表として読んだ弔辞がテレビのワイドショーなどで絶賛された菅義偉前首相(73)。ところが、その感動的な弔辞の「使い回し」疑惑が浮上し、ネット上で大騒ぎとなっている。

 疑惑を報じたのは主に政治、社会のテーマを扱うニュースサイト「LITERA(リテラ)」。10月1日、【菅義偉が国葬弔辞で美談に仕立てた「山縣有朋の歌」は使い回しだった!】と題し、菅氏が弔辞で取り上げた山縣有朋の歌<かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ>に注目。

 記事を要約すると、菅氏はこの歌を安倍氏の議員会館の部屋の机にあった「読みかけの本」から引用したように弔辞を読んでいたが、実際は、読みかけではなかった上、安倍氏も今年5月に亡くなった葛西敬之・JR東海名誉会長をしのぶ歌として自身のフェイスブックに投稿していた、という内容だ。

 このニュースが報じられると、ネット上では賛否両論が続出。

《感動に水を差すな》《弔辞の使い回し、とは聞いたことがない。本当に友人だったのか》《これは安倍さんの弔辞のパクリでは…》《さすがリテラ、よく調べた。テレビのワイドショーでも取り上げるべきだ》などの投稿が相次ぎ、同2日には、ツイッターのトレンドワードに「山縣有朋」「使い回し」「国葬弔辞」が入った。

 菅前首相といえば、毎年8月に行われる全国戦没者追悼式の総理式辞でも、安倍氏の式辞を「コピペしたのではないか」などと報じられたことがある。

■山縣有朋を選んだセンスにも批判の声
 
 もっとも、菅氏の弔辞が美談として話題になった直後から、ネットでは《山形がどんな人だったか、知る必要あるかと》などと疑問の声があった。

 山縣有朋といえば、安倍元首相の地元である山口県の出身。第3代・第9代首相を務め、日本陸軍の実質的な建設者で、日露戦争では参謀総長として指揮を執り、太平洋戦争に強い影響を与えたともされる人物。また、日本初の汚職事件である山城屋事件(明治5年)などカネにまつわる疑惑も多く、ネガティブなイメージもある政治家だ。

《山形有朋は悪人だったもの、アレ元総理とそっくりだね》《菅は弔辞をこう締め括りました。「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」――いうまでもなく日清・日露の戦争を先導した軍人政治家・山形有朋の言葉です》

《菅さんの弔辞には感動したが、山形有朋で?と思った。まぁ本を読んでいた話だけど、山形有朋って軍隊、賄賂のイメージが強いので笑、、まぁ歴史評価はいろいろあるけどね。ここは嘘でも笑、渋沢栄一とか、論語とかと言っといたらよかったのになぁ笑笑》

 また、菅氏が山縣有朋の言葉を選んだ裏の意味を推察し、《伊藤博文を安倍晋三に擬し、山形有朋を自分(菅)に擬しているわけですね。つまり、オレはこれから陰険な黒幕になって、右翼政治を末長く仕切って行くぞと》

 などと皮肉る投稿も散見された。

日刊ゲンダイ
10/2(日) 14:36
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad4b02f33d47fe9d715facfcfabc174dcdcf892d