安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)に参列した米国のリチャード・アーミテージ元国務副長官(77)=写真=が27日、読売新聞のインタビューに応じ、安倍氏について「日米同盟の巨星」であり、「自由世界のリーダー」だったと改めて高く評価した。

アーミテージ氏は国葬について、「安倍氏を非常に尊敬している。日本の人々に、どれだけ多くの国が、素晴らしい代表団を送ったのかを見てもらいたい」と語った。

 アーミテージ氏は数十年にわたり、日本の歴代政権に安全保障政策を助言してきた。その中でも安倍氏は「最高の戦略家だった」と述べた。特に安倍氏が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」について、「中国との関係を相互に、公平なものにしようとした」と分析した。

 日米同盟に関しては、「安倍氏がやろうとしたことは、同盟の制限をなくし、使える状態にすることだった」と指摘。それまでは、日本側に必要な行動を促しても「難しい」として動かないケースがほとんどだったとし、安倍氏が憲法解釈の見直しによって集団的自衛権の限定行使などを可能にしたことを称賛した。

 その上で、岸田首相に対し、安倍氏がやり残した防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額や、反撃能力の保有を実現していくよう求めた。

 安倍氏の国際社会に対する功績について、「(米国の)トランプ(前)政権は民主的価値観を擁護するリーダー役を務めることに関心がなかった。その時、安倍氏が自由世界のリーダーとして立ち上がった」と強調した。

 数多い安倍氏との接点の中では、首相に返り咲いた後の2013年2月に安倍氏が訪米し、「Japan is back(日本は戻ってきた)」と題して講演した時のことが、強く印象に残っているという。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220928-OYT1T50069/