統一教会(現世界平和統一家庭連合)との関係を巡り「選挙におけるボランティア支援」や「旧統一教会及び関連団体の組織的支援、動員等の受け入れ」を否定してきた下村博文元文科相(68)の衆院選で、元信者が「選挙の手伝いをした」と「 週刊文春 」の取材に証言した。

 今回、取材に応じたのは2009年当時、東京・武蔵野市の「武蔵野教会」に所属していた統一教会信者のXさん。自民党の麻生太郎政権は支持率が低迷。8月末の総選挙では政権交代が起きるのでは、との観測が強まっていた。Xさんのもとに、教団幹部のF青年部長から連絡が来たのは、ちょうどその頃。当時、Xさんは20代で、教団活動にフルタイムで専念する「献身者」だった。

 Xさんは、F青年部長にこう言われたと証言する。

「今度の衆院選で有田(芳生)さんが東京11区から出馬する。落とすために対抗馬の下村さんを応援してください」

 指示を受け、Xさんは、同じ教会の3~4人の仲間と板橋区内にある下村氏の選挙事務所に向かった。

「そこには、近隣の教会から来たと思われる信者が、他にも10人ほど集まっていました。事務所には有田さんを中傷するビラが用意されていた。それをポスティングするのが役目でした」(Xさん)

 有田氏は1980年代後半からジャーナリストとして霊感商法などの統一教会問題を追及。有田氏が国会議員になるのは、教団としては最も避けたい事態だった。

 Xさんが続ける。

「教団内では有田さんは悪の権化。潰すために下村さんの選挙を支援しようと」

 数時間のポスティングを終え、事務所に戻ったXさんたち。そこにやってきたのは下村氏だった。

「有田さんのことはあまり注目していなかったけど、最近は力をつけてきているようです。拮抗してきているので、頑張りましょう」

 そう挨拶したという。

「下村さんは自分たちが信者だとわかっている様子でした」
「手伝ったのは1日だけでしたが、下村さんは自分たちが信者だとわかっている様子でした。交通費は教会で精算した。開票日に有田さんが負けると信者の間で盛り上がりました」(Xさん)

 下村氏は、自民党の調査に対しても、教団による選挙支援を一貫して否定してきた。

 改めて下村事務所に質問状を送ると、「過去の選挙で弊所及び下村本人からお尋ねの団体に選挙依頼(表現ママ)をした事実はない」と答えた。選挙で信者や関連団体から支援を受けたか否かについて教えて欲しいと再度尋ねたが、答えなかった。

 統一教会はこう答えた。

「世界平和統一家庭連合が組織的に特定政党及び政治家に関わることはございません。尚、友好団体についてはその限りにございません」

 自民党は統一教会や関連団体と党所属議員との関係に関する“点検”結果を9月8日に公表したが、その後も複数の議員に新たな接点が発覚し、支持率低下の一因となっている。茂木敏充幹事長が、追加分についても近く公表する考えを示す中、下村氏が今後どう説明するのかが注目されそうだ。

 9月21日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および9月22日(木)発売の「週刊文春」では、統一教会の有力関連団体の一つ、世界平和連合と下村氏の選挙とのかかわりや、関連団体のキーマンの新証言などについても詳しく報じている。

文春オンライン
9/21(水) 16:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a14d68c0bd027c48828ac2c5ce872be306cdc55