イギリスのエリザベス女王の国葬(19日)に岸田首相が一時参列を検討した末に見送りを決めたと報じられ、ネット上では失笑が渦巻いている。

国葬には、アメリカのバイデン大統領やドイツのシュタインマイヤー大統領などの各国首脳も参列する予定。岸田首相はこうした動きに合わせ「弔問外交」の機会にもなり、安倍元首相の国葬問題や統一教会問題で内閣支持率が下げ止まらない中での「反転攻勢」へのアピールを目論んでいたと見られるが、共同通信が13日深夜、複数の政府関係者の話として、イギリス政府から送られてきた招待状が天皇・皇后両陛下のみだったことから、参列を見送る方針に転じたと報じた。

この記事の配信先のヤフーニュースでは、一夜明けた14日午前7時過ぎまでに6000件を超えるコメントが続々と書き込まれる反応があった。上位に表示されているコメントがいずれも今回の「迷走」に批判的な内容で、

『英国側からすれば、同じ王族の、そして親交のある日本の皇室の天皇皇后両陛下をご招待したのであって、あとは考えてもいないということだ。』

『普通に考えたら天皇、皇后両陛下っていう流れになると思うのだが、そういう事に関しては積極的なのに自国の事に関しては動きが鈍る。』

『王室や皇室のない国なら大統領や首相が参列するのは解るけど。』

などと、元首ではない首相が立場を“わきまえず”に参列を検討したことをあげつらった。

自民党政権に批判的な人たちには格好のツッコミ材料を与えたことになり、弁護士の郷原信郎氏は「天皇陛下が参列されるのは当然のこと、それを、自分が参列すると先に言い出す岸田首相。この人は、エリザベス女王の国葬の意味も、自分かやろうとしている「国葬儀」の意味も全くわかっていないのではないか?」と呆れていた。

また、立民の原口一博衆院議員が「招かれていない国葬への参列は不可。よって見送りではない。はじめから不可」と述べるように、そもそも問題外との指摘もネットでは相次いでいる。

岸田首相が参列「見送り」の報道については、安倍政権時代に安倍氏を擁護していた保守層のネット民は、全体として関心がないからか岸田首相をかばうつもりががないからか、ネットでの発信はあまり目立っていないようだ。

“孤立無縁”になりつつある岸田首相の対応について、国際政治学者はどう見ているのか。慶應義塾大学の鶴岡路人准教授(国際安全保障)はツイッター(ヤフーニュースコメントの要約)で「本来これがニュースになること自体があり得なかったのではないか。英女王の葬儀に日本を代表して参列するのは陛下以外にあり得ない」と指摘した上で、「総理に関して、参列の主目的が弔問外交の展開だったかのようなこの記事の説明が間違っていないとすれば、極めて失礼な話でもある」と突き放していた。

SAKISIRU
2022年09月14日 07:30
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