衝撃の事件から2ヵ月、岸田政権は坂を転げ落ちるように支持を失った。露呈した無策ぶりから国民の目を逸らし、自民党内を黙らせるには、もうこれしかない。イチかバチかの大勝負が始まる。

やる前から失敗確定

安倍晋三の国葬まであと2週間――岸田文雄は後悔している。いつものように「検討する」と言って、お茶を濁そうと考えていたのだ。副総裁の麻生太郎にすごまれて、思わず折れたせいで、歯車が大きく狂った。

 「総理が初めから国葬を開くつもりだったら、安倍さんの死後すぐに半旗を掲げていたはず。当初は自民党内でも『政府と党の合同葬でいい』という意見が大勢だった。しかし、自身の後ろ盾で安倍さんの親友でもある麻生さんに『国葬だ』とクギを刺されては、総理も頷くしかなかった」(自民党幹部議員)

 弔問外交で、安倍のレガシーを偲ぶ。捻り出したそんな言い訳も空しく、各国首脳は次々に「不参加」の連絡をよこした。

 「ドイツは元大統領のウルフ、アメリカは副大統領のハリスが来るというが、各国の三、四番手以下と会っても仕方ないよ。それに費用が総額16億6000万円、うち警備費がたった8億円というのも怪しい。警察だって今度は絶対に失敗できないんだから、入念に警護体制を整える。少なく見積もっても30億円くらいはかかるんじゃないか」(別の自民党幹部議員)

森喜朗「連絡不通」の衝撃

 万が一、事故やテロでも起きようものなら、国民の呆れと怒りは爆発する。そうでなくとも、世論調査では6割近くが反対しているのだ。政権発足から最低となった支持率が、9月27日の本番まで、いや終了後も下がり続けるのは間違いない。

 だが、そんな岸田の内心を知ってか知らずか、安倍を崇拝する議員らは空気の読めない発言を続けている。自民党北海道議会議員の道見泰憲は、ツイッターで「国葬に反対する方々にお伝えしたい(中略)もう黙ってろ」と暴言を書き込み、大バッシングを浴びた。

 岸田と筆頭秘書官の嶋田隆、官房副長官の木原誠二らのモットーは「世論調査で過半数が反対する政策はやらない」。もちろん安倍の国葬も条件に合致するが、今さら止めることもできない。

 〈やりたくもない国葬を押し付けられて、ここまで追い込まれるとは。これは呪いなのか〉

 追い討ちをかけたのが、自民党の長老OB・森喜朗の問題だ。東京五輪のスポンサー契約をめぐる汚職事件で、紳士服大手・AOKIからの収賄疑惑が浮上していたが、9月7日、その森と連絡がつかなくなり、官邸に大きな動揺が走った。

 「同日昼、(ホテル)ジ・オークラに岸田総理、麻生副総裁、松野博一官房長官、茂木敏充幹事長が集まりました。表向きは国会の閉会中審査について話し合ったとされますが、実際はこの日、森さんが東京地検特捜部の事情聴取を受けた。そのまま逮捕や起訴された場合の対策を緊急協議したのです」(官邸関係者)

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現代ビジネス
9/13(火) 7:32
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c1acbf8afe5c167167b4070e43c36745335732b