【安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態】

 霊感商法の被害者救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は6日、富山県の新田八朗知事に対し、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と今後一切関係を持たないよう申し入れた。

 全国弁連が知事に申し入れをするのは初めてのこと。

 その理由について、代表世話人の山口広弁護士は「なぜ富山県知事に出したかというと、(新田知事は)明らかに選挙運動の応援を受け、『ありがたいと思った』と述べた。旧統一教会の主張や活動が県政のトップに受容されたと周知され、強引な献金や信者の勧誘などにつながる。今後の関係もはっきりとした回答がない。富山県民の被害を守るという視点からも関係については考え直してもらいたい」と説明した。

 新田知事は知事選前の2020年8月、当時、旧統一教会の会長だった徳野英治氏と選挙事務所で面談。初当選を目指した10月の知事選で関連団体の「世界平和連合」から後援会名簿集めや電話作戦の支援を受け、団体関係者の集会で3回演説を行った。

 新田知事は関係発覚後、「コンプライアンス上の課題がある団体とは付き合わない」としながらも、「旧統一教会と関係を断つという発言はできない」と明言。「旧統一教会はコンプライアンス上、問題がない団体」と言わんばかりだった。

 新田知事は昨年、県内で開催された関連団体主催のサイクルイベント「ピースロード」の開会式に公務で出席。知事だけでなく、県も20~22年のピースロードや19年5月の「日韓トンネル推進富山県民会議」の講演会など、5件で名義後援していた。

「趣旨と内容を見て判断しました。国際交流とか国際理解を掲げていたので、後援を承認しました。旧統一教会という認識はありませんでした」(県国際課)

■県内すべての市町村がイベントを後援

 知事や県だけではない。自民党の稗苗清吉県議は関連団体「県平和大使協議会」の議長で、山本徹県議は昨年、ピースロードの実行委員長を務めた。

「富山市の藤井裕久市長は初当選した21年の選挙前、教団内に後援会を結成してもらい、当選後も平和大使に任命されるなど、度々イベントに出席していた。高岡市の角田悠紀市長も今年5月、県高岡文化ホールで開催された県平和大使協議会で講演。昨年7月にはピースロードで挨拶をしています。魚津市の村椿晃市長は、中止になった今年のピースロードの実行委員長を務める予定でした。富山県では、県と15市町村すべてがピースロードの後援をしていた」(地元関係者)

 旧統一教会は地元メディアも席巻。日韓トンネル推進富山県民会議の後援には北日本新聞社、富山テレビ、チューリップテレビが名を連ね、富山新聞は県平和大使協議会のオープンカレッジやピースロードを後援していた。県トップが煮え切らない態度だと、いくらでも付け入るスキを与えてしまう。

日刊ゲンダイ
9/10(土) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9813b0c380aee1a1bcb1dd8ee14d5a52dc0eff8