世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係についてかねて指摘されていた、自民党の山谷えり子元拉致問題担当相。9月8日に党が、旧統一教会と関係があった議員について氏名を公表した資料には名前がなかった。しかし、以前、国政選挙で山谷氏の事務所に応援に入ったという元信者の記録を見ると、関係が深いとすら思えるのだが。

 山谷氏は現職の参議院議員(比例区)。旧統一教会の友好団体が発行する「世界日報」に登場したり、過去の選挙で重点候補として支援を受けていたりしたと、8月初旬にメディアで報じられた。

 旧統一教会を長く取材しているジャーナリストで前参院議員の有田芳生氏も、

「山谷えり子さんは統一教会の重点候補でした。長い長い付き合いがあることは、多くの信者たちが証言しています」

 などとSNSで発信をしている。

 それでも山谷氏は旧統一教会との関与や教会からの選挙支援を否定していたが、AERA dot.編集部は、旧統一教会の元信者の女性Aさんが2003年11月の山谷氏の選挙の際に、どのような支援をしたかについて詳細を記録した

<山谷えり子 選挙応援の記憶>

 という文書を入手した。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士によると、

「旧統一教会の霊感商法などの被害にあい、私のところに相談に来た女性信者が書いたものです。被害などの詳細もしっかりしており、Aさんが脱会と返金を訴えると、教会側がカネを払うということで和解しました」

 と話す。A4サイズ3枚に、2003年の衆院選で、当時、保守新党だった山谷氏への選挙応援の模様が細かく書かれている。

<祈祷会後のことだった。「明日一日フリーの人で選挙の応援に行ける人!」を募集され私は手を上げた>

<み旨のためにどうしても当選しないといけない方らしい>

 翌朝、連れられて行ったのが東京都内にある、山谷氏の事務所だった。

<ぞろぞろと応援が来た。その中に武蔵野青年部のメンバーも4名ほどいた>

<出発前にアベルから「教会の名前はあかさないで」と言われてきた>

「アベル」とはいわゆる上司にあたる人物だ。

 旧統一教会の名前を隠すようにと言われたことについて、加納弁護士は、

「旧統一教会の社会的な霊感商法などの問題もあって、表に出せないと陣営は考えたのでしょう」

 とみている。

 Aさんの最初の仕事はポスター貼りだった。

<ピンポーンとインターホンを押し、「山谷さんを応援している者です」といった自己紹介をし、お家の外壁に選挙が終わるまでこのポスターを貼らせていただけませんか?とお願いする。ポスター貼り役は断られてもそこをなんとかと、といった風に粘る。裏面の小泉(純一郎)首相と握手した写真などを見せる>

 と奮闘ぶりがリポートされている。

 そして、ポスター貼りの後は選挙カーに乗って手伝うことになった。選挙用のジャケットを渡されて、車に乗り込んだAさんを含む4人の旧統一教会の信者たち。

<渡されたのは「山谷えり子は〇〇します!」といった、10項目くらいのアナウンスマニュアル。「み旨を進める人だ」と感激した。「過度な性教育に反対」「ジェンダーフリーの反対」「家庭の再建」といった内容。一人づつマイクを持って全文を交代で読んだ。残る3人は窓の外にいる人々に手を振って明るく「山谷えり子をよろしくお願いいたします」と大声を出した>

 主張の内容は、旧統一教会と同じだ。

 選挙カーのアナウンスが終わると、選挙の手伝いは終了。そして、こう感想を書いている。

<日々前線で伝道か万物復帰なので、私は違うことをさせてもらい嬉しかった>

<この日の残りのスケジュールは伝道。アベル(隊長)に電話をする。ウグイス嬢をしたと報告すると「すごいじゃないか」と喜んだ声が聞こえる>

 Aさんは、そもそも山谷氏の顔すらも知らずに選挙支援に行ったと書いている。そして、こうした選挙支援も上司の指示で動いていたことがうかがえる。

 また、旧統一教会の信者がかなりの人数で山谷氏の応援に入っていたことや、旧統一教会が継続的に選挙支援をしていたこともみえてくる。

続きはWebで

AERA
9/11(日) 8:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/edb19cdb68367823764dc42445997c828e702612