大阪府の吉村洋文知事(47)が9日、府庁で記者団の取材に応じ、大阪の創薬ベンチャー企業「アンジェス」が新型コロナウイルスワクチンの開発中止を発表したことについて言及。自身の発信について問われ、いらだちをのぞかせた。

 同社は新型コロナウイルス(武漢型)が猛威をふるっていた2020年3月、同ウイルスに対するDNAワクチンの開発を決定。臨床試験を開始したが、「期待通りの効果を上げることが難しい」と判断し、今月7日に開発中止を発表した。同社には厚生労働省などから約75億円の補助金が出ていた。今後は、BA.5などの変異株に対しても有効な改良型DNAワクチンや、鼻から投与するタイプのワクチンの研究をすすめるという。

 吉村氏は「成功に至らなかったのは残念に思う。全ての研究が成功するわけではないが、チャレンジしないとなかなか成功にもならない。国産ワクチンもない状態なので、スタンフォード大学との共同研究に期待したい」と話した。

 吉村氏は、同社が20年6月、第1段階の治験を開始した際、「9月には実用化できるのではないか」「年内には10~20万人に摂取できる」などと豪語していたが、情報発信の妥当性について問われると「(アンジェス創業者の)森下(竜一)さんから実際に聞いた話に基づいて発信している。問題はない。僕が独自に想像して発信したわけじゃない」とキレ気味に答えた。

 府政関係者は「『森下さんから聞いた』と半ば責任転嫁してますけど、知事の発言で民間企業は株価が上がるなど影響が出るんですよ。実際、アンジェスは上がった。ポビドンヨードの時もそうでしたが、自分の発言の重さへの反省が見られない。森下さんには(2025大阪関西)万博の大阪パビリオンの総合プロデューサーにも就いてもらってますし、周りから変な目で見られるような発信をしなければいいのに」と話している。

東スポ
2022年09月09日 22時57分
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