東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地検特捜部が、大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相(85)から、参考人として複数回、任意で事情聴取したことが、関係者への取材で分かった。森氏は組織委の元理事・高橋治之容疑者(78)と一緒に贈賄側の出版大手「KADOKAWA」の会長とも面会していたことが判明。特捜部は、元理事の受託収賄容疑の立証に森氏の聴取が必要と判断したとみられる。

容疑者ではなく参考人という位置づけだが、首相経験者の聴取は異例だ。五輪をめぐる事件の調べは、組織委トップに及んだ。

 関係者によると、森氏の聴取は8月中旬から9月初めに、都内のホテルで3回ほど行われた。特捜部は、組織委の意思決定プロセス、会長や理事の職務権限、高橋元理事が理事になった経緯などを確認したという。

 高橋元理事は、スポンサー選定で便宜を図り、紳士服大手「AOKIホールディングス」側から5100万円、KADOKAWA側から約7600万円の賄賂を受領したとされる。

 AOKIルートで高橋元理事は、スポンサー契約前の2017年に森氏とAOKI前会長・青木拡憲(ひろのり)被告(83)=贈賄罪で起訴=らの会食を設定。森氏は「ラグビーW杯が終わる(19年)秋ごろまでには決まっていると思う」と発言したことが既に判明している。

朝日新聞
2022/9/9 5:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ9877C7Q98UTIL01S.html