東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、紳士服大手「AOKIホールディングス」前会長の青木 拡憲ひろのり 容疑者(83)が東京地検特捜部に対し、大会組織委員会理事だった高橋治之容疑者(78)に対する贈賄容疑を認める供述を始めたことがわかった。高橋容疑者への資金提供や依頼(請託)について「組織委の実力者である高橋さんに期待した」などと供述しているという。

 高橋容疑者は先月17日、AOKIのスポンサー契約などに便宜を図った見返りに、AOKI側から2017年10月~今年3月、計5100万円の賄賂を受領したとする受託収賄容疑で逮捕された。AOKI側も青木容疑者や専務執行役員の上田 雄久かつひさ 容疑者(40)ら3人が贈賄容疑で逮捕された。

 関係者によると、青木容疑者は、逮捕後の調べに対し、「高橋さんは組織委の実力者だったので、部下に『毎月100万円を払っているのだから、しっかりお願いしろ』と指示した」などと供述。上田容疑者も「高橋容疑者が組織委理事と認識していた」と供述しているという。

 高橋容疑者を巡っては、出版大手「KADOKAWA」が大会スポンサーに選定されるよう組織委側に働きかけた疑いがあることも判明。同社は19年4月のスポンサー契約締結後、高橋容疑者の知人が経営する会社に総額7000万円を支払っており、特捜部は、少なくともこの一部は高橋容疑者への賄賂だった疑いがあるとみて捜査している。

 KADOKAWAは3日、「事態を厳粛に受け止めており、捜査に全面的に協力する」とのコメントを出した。

 特捜部は、高橋容疑者がAOKIやKADOKAWAのほかにもスポンサー選定の過程に関与していた疑いがあるとみて、複数の企業から事情聴取を行うなど幅広く捜査している。

読売新聞
2022/09/04 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220903-OYT1T50334/