東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が東京地検特捜部の調べに対し「組織委会長だった森喜朗元首相にAOKIホールディングス(HD)側を紹介した」と説明していることが関係者への取材で判明した。時期はAOKIHDがスポンサーに選定される前だった可能性があるとしつつも、「森元会長にAOKIHDの後押しなどはお願いしていない」と話しているという。

【図解で見る】東京五輪汚職事件の構図

 森元会長は、2014年1月の組織委発足時から、女性蔑視発言問題で辞任する21年2月まで会長を務めた。元理事は森元会長、AOKIHD前会長の青木拡憲(ひろのり)容疑者(83)=贈賄容疑で逮捕=と同席する会合があったと説明しているといい、特捜部は森元会長に紹介した経緯を慎重に調べている模様だ。

 元理事は17年1月、前会長に7億5000万円で三つある国内スポンサーで最も協賛金のランクが低い「オフィシャルサポーター」になる意向を尋ね、前会長はこれを了承したとされる。元理事と前会長は面会を重ね、同年夏までに7億5000万円のうち2億5000万円を元理事が推薦する競技団体の強化費として先払いすることで合意。この過程で元理事はAOKIHD側に内定を伝える一方、組織委に差額の5億円を協賛金として同社を紹介した疑いがある。

 関係者によると、元理事が森元会長にAOKIHD側を紹介したとされるのは17年1月以降という。前会長や他のAOKIHD幹部も、17年中に東京都内で森元会長を含む会合があったと話しているという。

 森元会長の代理人弁護士は「森元会長は17年中に高橋元理事と青木前会長がそろった会合に同席した事実はあるか」との質問に対し、今月10日付で「事実ではありません。森氏、高橋氏、青木氏が3人で会合を持ったことはありません。ただし、森氏が、その職員の慰労会のため、高橋氏の紹介で、青木氏が経営するカラオケ店を使ったことはあります」と書面で回答した。AOKIHDがスポンサーに正式決定する前に、協賛金の調整などに関わったことも否定した。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】

毎日新聞
8/23(火) 11:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6cc8d1bc21dfa0679f8a95d9493abf56fb27287