旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への高額献金が問題視される中、政府は「霊感商法」の被害対応に関して、今月下旬、検討会を設置することを決めた。2018年の消費者契約法改正により、霊感商法で結んだ契約は取り消せるようになったが、近年は物品販売より寄付を巡るトラブルが主流になっている。

 その霊感商法について、旧統一教会の田中富広会長(66)は10日、外国特派員協会で行った会見で「いわゆる霊感商法なるものを過去においても現在も当法人が行ったことはありません」と言い切った。

「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)代表世話人の山口広弁護士は「霊感商法をやっていないって、何を言ってるんだと思った」と、こう語気を強めた。

「当法人が先頭に立って積極的にやっています。会見はとにかくウソだらけでした。<返金要請には個別に対応している>と言っていましたが、むしろ(訴えられないように)合意書を作らせて、一部だけ返してあとは知らんぷりです」

 田中会長は「14年以降、当法人は消費者センターから、当法人に関する何らかの相談があった場合には連絡をもらうようにしていましたが、記録にあるこの年以降、消費者センターから相談を受けたとの連絡は一件もありません」と“トラブルなし”を強調したが、「消費者センターに連絡をもらうようにしていた」こと自体が虚偽説明だった。

「会見を見て驚きました。<連絡をもらうことになっていた>と言っていましたが、そもそもそういった事実はございません」(全国の消費者センターを支援する独立行政法人国民生活センター広報課)

 全国弁連事務局長の川井康雄弁護士も「霊感商法については言うのもアホらしいのですが……」とこう続ける。

「法人としてやったことではなく、信者がやったことだと言いたいのでしょうが、全国各地で霊感商法被害について違法の判決が出ています。組織的だと認定された歴史的事実です」

■「資産は全て捧げなさい」という教え

 田中会長は会見で献金についても言及。「財産に比しての高額な献金が行われないよう徹底した努力を重ね、今日に至っております」と説明したが、旧統一教会にとって、資産がある信者は一番ありがたい存在。「資産は全て捧げなさい」という教えを説いている。献金には「義務」「祝福」「先祖解怨」「愛国」「聖本」など、さまざまな種類がある。

「億単位の献金も珍しくはありません。むしろ比較的多い方です。旧統一教会がもっとも早い段階でやるのが、信者になりそうな人の財産の把握です。財産のない人からは取れませんから。<高額な献金を行われないように>と言っても、具体的にどういうやり方なのか。詭弁に過ぎません」(前出の川井弁護士)

 旧統一教会に対する不信感を募らせるだけの「言い訳会見」だった。

日刊ゲンダイ
8/13(土) 13:52
https://news.yahoo.co.jp/articles/44459559e0e0411cd8ed197ba49dd26c51d6a8e6