【安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態】

 なぜ、これほど熱心だったのか──。香川県知事をはじめ、多くの首長が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体の表敬訪問に応じていた。

 若い信者が全国を自転車で走る旧統一教会関連のイベント「ピースロード」が、今年も各地で行われた。このサイクルイベントは、旧統一教会系の「UPF」(天宙平和連合)が、毎年、全国展開する重要なプロジェクトだ。

 開催期間中は記念式典や募金、ゴミ拾いなどが行われ、地元メディアが活動を取り上げることもあって、旧統一教会にとっては、人や金を集める絶好の機会になっている。

 なかでも、このイベント開催に熱心に取り組んできたのが香川県だ。今年も全国から集められた信者が7月1日から1カ月間かけて新型コロナウイルスの終息と世界平和を願い、東かがわ市から観音寺市まで自転車で走る予定になっていた。

 地元紙・四国新聞が伝える「首長動静」によると、大会開催に合わせ、イベントスタッフが香川県知事をはじめ、各地の市長や町長を表敬訪問する予定になっていた。

 ところが、安倍晋三元首相が亡くなったため、13日以降、イベントは中止となった。それでも、7月12日までに9人の首長が、ピースロードの表敬訪問を受けていた。走行ルートから遠く離れた自治体の首長も含まれていた。

 旧統一教会のイベントに協力した自治体の担当者はこう言う。

「ある県議から『本年は県内8市9町の全市町、町長にも参加して欲しい』という要請がありました」(宇多津町担当者)

「今年からこれまでの市に加え、各町も多く参加することになったそうです。選挙区の県議から紹介がありました」(三木町担当者)

「(県選出の)平井卓也衆院議員や国会議員からの働きかけはありません。ただ、送られてきたピースロードの実行計画書に実行委員長として、平井卓也議員の名前が記載されていました」(大山茂樹さぬき市長)

 どうやら、地元選出の平井卓也自民党議員が、「ピースロード」の実行委員長に就いていたことも大きかったようだ。平井前デジタル大臣は、県内シェア6割を誇る四国新聞のオーナー一族のうえ、自民党香川県連の会長だ。地元の実力者が実行委員長を務めるイベントには協力せざるを得なかったのかも知れない。

 昨年8月7日、平井氏は「かがわ国際会議場」で開催されたピースロードのセレモニーに出席。オレンジ色の「世界平和への道」と書かれたタスキをかけ、実行委員長として主催者挨拶をしている。セレモニーには県選出の自民党参院議員である磯崎仁彦と三宅伸吾も来賓として招かれていた。

 なぜ、平井議員は旧統一教会の関連イベントに肩入れしていたのだろうか。

 日刊ゲンダイは、平井卓也事務所に、セレモニーで挨拶をしたかどうか、旧統一教会との関係を問う質問書を送付した。事務所は「質問にはFAXで返答します」と回答したが、4日経っても回答は届いていない。記者会見を開き、説明すべきだろう。

日刊ゲンダイ
8/2(火) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/90304c4ef5f896d3a28cb1124ab20a4333f47fbc