自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会=清和会)が大揺れだ。安倍派と旧統一教会との癒着に国民からの厳しい視線が注がれ、総崩れになりつつある。

 安倍氏の死去でパンドラの箱が開いたかのように、自民党議員と旧統一教会との親密な関係が白日の下にさらされ始めた。とりわけ関係が深いのが安倍派のメンメンで、実弟の岸防衛相は、旧統一教会が問題ある団体と知りながら付き合ってきたと白状。末松文科相はパーティー券を買ってもらっていたことを明かした。細田衆院議長や稲田元防衛相は教団の関連イベントで講演していたことが報じられ、下村元文科相は教会の名称変更に関与したことが疑われている。

 この状況に安倍派は危機感を募らせ、同時に政権中枢に対する不満の声も上がっている。

「岸信介元首相に連なる清和会が、歴史的に統一教会と縁があるのは確かです。しかし、我が派の議員が次々とやり玉に挙がり、統一教会系のイベントで講演した映像などが連日テレビで流されると、安倍政権と統一教会が一体化していたような印象になりダメージが大きい。岸田首相の宏池会など他派閥にも統一教会系のイベントに参加していた議員はいるのに、まるで清和会が狙い撃ちされているように感じます。官邸や執行部が他人事のように素知らぬ顔をしていることも解せません」(安倍派議員)

政権中枢も突き放す

茂木幹事長が「自民党としては一切関係ない」と切り捨てたり、安倍派の福田総務会長が「個人として抜き差しならない関係になった結果、政治活動に影響を与えているのであれば問題だ」と断じたのも、旧統一教会と手を切れないのは、安倍氏に近い個別議員の問題だと突き放しているようにも見える。

「岸田総理はじめ政権中枢には統一教会と縁が薄い人が多い。それで“我関せず”と静観を決め込んでいた面もあるのでしょうが、この問題が内閣支持率に響いてきたら、何らかの対応を取らざるを得ない。9月の内閣改造で、統一教会と関係が深い議員は干されるのではないか。それは岸田政権の後ろ盾である麻生副総裁も容認すると思う。麻生さんは敬虔なクリスチャンなので、統一教会のことは邪教だと思っているのです」(自民党関係者)

 7月31日に発表された共同通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は前回調査から12.2ポイントも急落して51.0%と政権発足以来最低を記録。旧統一教会と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」の回答も80.6%に達し、この問題が支持率に影響を与えている可能性がある。

■岸田首相初言及

 慌てた岸田首相は昨夕、急きょ公邸でぶら下がりに応じ、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことが大事だ」と話した。公の場で岸田氏が旧統一教会の問題に言及したのは初めてだ。

 こうなると、自民党内では今後、旧統一教会シンパかどうかで処遇が決まる可能性がある。安倍派内でも教団との関わり方は濃淡があり、無関係をアピールするために派閥を抜ける議員が出てきてもおかしくない。

 イメージは悪化の一途で、大所帯をまとめる力のある議員もいない安倍派は草刈り場となり、馬糞の川流れの運命か。

日刊ゲンダイ
8/1(月) 15:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b0ffc59406803ff8a85957cf635dcf15c133236