比例では維新の会に惨敗

「(日本)維新(の会)との比例の票で107万票の差が付いたという結果は出ているのですけれど、少し中味を見ていくと、大阪だけで比例票で120万票差が付いています。これは重く受け止めなければならない」

7月22日午後の定例会見で、立憲民主党の泉健太代表はこう述べた。7月10日に投開票された参議院選で、立憲民主党は17議席を得て野党第一党の地位を確保。しかし比例区での得票数は677万1945票で、784万5995票を獲得した日本維新の会の後塵を拝している。

これを大阪府内で見ると、日本維新の会は145万1516票を獲得したのに対し、立憲民主党は120万票以上も少ない24万8549票しか確保できなかった。もっとも大阪選挙区では、日本維新の会が高木かおり氏の86万2736票と浅田均氏の59万8021票を合わせて146万757票を獲得したのに対し、立憲民主党公認の石田敏高氏は19万7975票で、候補者擁立が比例票の積み上げに寄与したとは言い難い。

近畿地方を見ると、この差はさらに拡大する。日本維新の会が比例区で獲得した269万8512票に対し、立憲民主党は73万215票に過ぎないからだ。その事実を踏まえた泉代表の発言は次の通りだ。

「関西2府4県でいうと200万票の差が付いているということになりますので、全国各地で立憲民主党が奮闘している地域もあるということも、改めて認識しているわけです」

要するに日本維新の会が強い関西ではボロ負けしたものの、他の地域で健闘したために「107万票差の負け」に踏みとどまっているという意味だ。しかし立憲民主党はこの参議院選で、比例区の目標得票数を「1300万票」と設置。その半分ほどしか達成していない。

党内から「辞任説」が起こりつつある

そもそも泉代表の地元である京都では、選挙区では5期目を目指す福山哲郎前幹事長がその高い知名度で27万5140票を獲得して当選したものの、日本維新の会の新人・楠井祐子氏に1万7288票差まで迫られた。さらに京都府内の立憲民主党の比例票は12万8874票で、日本維新の会の24万2682票のおよそ半分にすぎず、兵庫、奈良、滋賀、和歌山に至っては、日本維新の会の3分の1ほどしか獲れていない。

 にもかかわらず「立憲民主党が奮闘している地域もある」という泉代表の発言は、そのような現実からわが身を守るものだ。その姿勢は公示前の23議席を減らすことが確実になった7月10日深夜の会見で、「代表辞任」と「執行部の刷新」を否定して以来、全く変わることがない。

 だが党内では「泉辞任論」が沸き起こりつつある。ある議員は筆者に次のように打ち明けた。

 「比例区で大きく負けたというのは、党の顔としての発信力がまるでないということです。日本維新の会の松井一郎代表は、自民党に及ばなかった責任をとって代表辞任を表明しました。私は泉さんは代表を辞任すべきだと思います」

 その議員は「泉さんは代表になるべきではなかった」と述べた。

 「昨年の代表選で、あるベテラン議員が泉さんの代表選出馬を止めたのです。参議院選に向けて立憲民主党がやるべきは、有力な議員が代表になって党を守るか、それともインパクトで攻めるかしかありません。しかし泉さんでは力不足だと。そもそも泉さんの役割は国民民主党の存在を消すはずだったのに、最終的には“プチ玉木”になってしまったのです」

 そういえば国民民主党も2人の現職が落選し、5議席獲得にとどまった。東京都内での比例票の積み上げを狙って小池百合子都知事の人気を当てに、東京選挙区に出馬したファーストの会の荒木ちはる氏を推薦したが、その効果はほとんどゼロ。しかし立憲民主党にはそんな戦略すらもなかったといえる。

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現代ビジネス
7/25(月) 7:32
https://news.yahoo.co.jp/articles/c674499339eb5397c3302dbd6d853edb99885042