〈1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った〉

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 文部科学省の事務次官だった前川喜平氏が2020年12月にツイートした冒頭の書き込みが、にわかに注目を集めている。霊感商法や合同結婚式などによる被害が明るみとなり、80~90年代に大きな社会問題となった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、名称変更で実態をゴマカし、組織維持を画策。所轄庁の文化庁は突っぱね続けていたが、第2次安倍政権下の15年8月に認証した。一連の動きの背景で何が起きていたのか。97年7月から1年間、文化庁文化部宗務課長も務めた前川氏に改めて聞く。

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 宗教法人と文化庁の関係は「監督庁」ではなく、「所轄庁」。憲法が保障する「信教の自由」に関わる業務なので、権力的な関与は行わないという建前があるためです。「認証」は事実を認定する行為を指し、「許可」や「認可」とは性質が異なります。宗教法人法は原則、要件を満たした宗教団体にはすべて法人格を与えるとの考え方に立っている。ですから、宗教団体であるという事実を確認する作業が認証なのです。

 僕が文部省の外局である文化庁の宗務課長に異動した97年、旧統一教会が「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称を変更したいと認証を求めてきた。「事前相談」があったのです。

■「組織の実態が変わっていなければ、規則変更は認証できない」

 手続き上の説明をすると、認証の対象は宗教法人の規則です。社団法人などで言えば、定款にあたるもの。宗教法人の規則の中に必ず名称を記さなければならず、名称変更にあたっては規則を改めて認証する必要があるのです。宗務課がどう対応したかは、ツイートした通り。組織の実態が変わっていなければ、規則変更は認証できない。そう判断し、申請を受理しなかったのです。申請を受けて却下したわけではありません。水際で対処したのです。

 教団側が名称変更を求めた理由は、「世界基督教統一神霊協会」とは名乗っておらず、「世界平和統一家庭連合」として活動しているから、ということでした。

 ーー旧統一教会は教祖の故・文鮮明が54年に韓国ソウルで創設。間もなく日本でも布教が始まり、64年に東京都知事が宗教法人として認証した。97年以降、世界各地で家庭連合を正式名称としている。

 ですが、霊感商法で多くの被害者を出し、損害賠償請求を認める判決も出ていた。青春を返せ裁判などもあった。「世界基督教統一神霊協会」として係争中の裁判もあり、社会的にもその名前で認知され、その名前で活動してきた実態があるのに、手前勝手に名称を変えるわけにはいかない。問題のある宗教法人の名称変更を認めれば、社会的な批判を浴びかねないという意識はありました。

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日刊ゲンダイ
7/22(金) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/5d24a82803d9bb57b8758c3b067493d9ce801e8e