7月10日の投開票日が近づく参院選。自民党公認で東京選挙区から元「おニャン子クラブ」の生稲晃子氏(54)、比例代表で元「SPEED」今井絵理子氏(38)が立候補しているが、音楽業界4団体(日本音楽事業者協会・日本音楽制作者連盟・コンサートプロモーターズ協会・日本音楽出版社協会)が支持を表明し、音楽関係者から反発の声が上がっている。

 6月30日に、永田町の自民党本部に音楽業界4団体の代表が赴き、2人を激励する決起集会を開催。日本音楽事業者協会の瀧藤雅朝会長は「日本のエンターテインメント自体、もっともっと政治の力をお借りしていかなければなりません。お2人は、10代から長きにわたり、活躍されてこられました、私たち現場の声を反映していただいて、太いパイプになっていただければ」などと語った。

 これに対し、すぐさま多数の音楽関係者がSNSなどでこれを疑問視する声を上げ、7月2日には、「#SaveOurSpace」が抗議声明を発表した。

 抗議文では「音楽業界内には様々な政治的信条を持つ人間がおり、個人のレベルで支持する政党を表明することはもちろん自由です。しかし、音楽業界内において大きな影響力を有する4団体が連携して特定の候補者の支持を公に表明するという事態は極めて異例」だとして、「本来は自由投票とすべきであり、そうでないとするならば、合議の上での意見統一のプロセスを経るべきだとわれわれは考えます。今回の支持表明は、そのような透明なプロセスを経た上で行われたのでしょうか」と経緯の説明を求めている。4日の段階で、賛同者はミュージシャンや音楽関係者など、2000人以上に上っているという。

“日本最古の現役バンド”の重鎮は「支持しない」と異例のツイート

 一方、2日夜には、「ムーンライダーズ」の鈴木慶一(70)がツイッターで、「私は音楽家だが支援しない。あまりこういうことは書かないが。k1」とポツリとツイート。“日本最古の現役バンド”として、長年、音楽業界に影響を与えてきた重鎮ながら、政治的な発言はしてこなかった鈴木の異例の発信にネット上はザワついた。《慶一さんのこういう発言珍しい。余程のことだということ》《鈴木さんの発言はこのうえなく重い》などと、ツイートには3万7000件以上の「いいね」が付いている。音楽評論家の富澤一誠氏はこう話す。

「青天の霹靂で、キツネにつままれたような気持ちです。当然、こういう表明をするのであれば、関係者に試案を問うてくるはずですが、そんな話は全くない。組織内でしかるべき意思統一がなされているか甚だ疑問です」

 日刊ゲンダイは、音事協の広報担当に意思決定のプロセスをメールで問うたが、締め切り時間までに回答はなかった。

 ちなみに、生稲候補は大手芸能プロダクションの「尾木プロ」、今井候補は「ライジングプロ」の所属で、いずれも音事協の中心的なプロダクション。音楽関係者全員が自民党とこの2人を支持しているかのような今回の暴挙。反発の声はさらに高まりそうだ。

日刊ゲンダイ
7/6(水) 11:20
https://news.yahoo.co.jp/articles/b29665efc532fa76b61c3ff16e10bc7a0edd5698