ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本が対ロ制裁を科す中、ロシアの政党党首が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と日本への脅しとも受け止められる見解を表明した。プーチン政権は欧米と連携してロシアを非難する日本への反感を強めており、こうした考えが一定の広がりを見せる恐れがある。

 見解を表明したのは、左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首で、1日に同党のサイトで発表された。公正ロシアは政権に従順な「体制内野党」。ミロノフ氏は2001〜11年に上院議長を務めた。

 発表によると、ミロノフ氏は北方領土交渉に関し、日本は第2次大戦の結果の見直しを求めたが、「明らかに失敗に終わった」と主張。その上で「どの国も望むなら隣国に領有権を要求し、正当化する有力な根拠を見いだすことができる」と明言した。ロシアが権利を持つ根拠は明らかにしていない。
 一方で、ミロノフ氏は「日本の対決路線がどこに向かい、ロシアがどう対応しなければならないか現時点では言えない」と指摘。「日本の政治家が第2次大戦の教訓と(大戦末期にソ連軍の侵攻で壊滅した)関東軍の運命をすっかり忘れていないことを望む」と語り、「さもなければ(日本側の)記憶を呼び起こさなければならないだろう」と警告した。
 ロシアは日本との対決姿勢を強めている。外務省のザハロワ情報局長は6日の記者会見で、「日本の現政権は、前任者らが長年つくり上げてきた協力を一貫して破壊している」と批判。日本への対抗措置を計画しているとけん制した。

時事通信
2022年04月09日07時08分
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