政府の観光支援事業「GoToトラベル」が新型コロナウイルス感染拡大によって中断している影響で、2020年度予算に計上した7200億円の給付金が使い切れず、近く国庫に返納される見通しが強まっている。政府は返納後も事業が継続できるよう予算を別に約8300億円確保しているものの、再開のめどは立っていない。

返納の対象となるのは、20年度1次補正予算と予備費で計上された計1兆4368億円のうち、20年12月の事業中断で執行されていない7200億円。財政法では、予算の繰り越しが翌年度までしか認められないため、執行期限の3月10日を過ぎると返納しなければならない。

政府は変異株「オミクロン株」の感染拡大前、22年1月末の事業再開を目指し、3月10日までに7200億円のうち4600億円程度を使う想定だった。しかし、感染急拡大で21年度中の再開が見通せなくなり、国土交通省は7200億円を22年度に再び繰り越す特例措置をとれないか財務省と協議。しかし、財務省は財政法の趣旨に反することから拒否した。

国交省は窮余の策として、20年度3次補正予算に計上され、本来は22年度に繰り越せない給付金約5600億円について、事業主体を国から都道府県に変更。21年度中に予算を都道府県に配分することで、22年度へ事実上繰り越す。このほか、21年度補正予算に計上した約2700億円も22年度に繰り越し、再開に備える。【中津川甫、袴田貴行】

毎日新聞
2022/2/23 18:06
https://mainichi.jp/articles/20220223/k00/00m/040/117000c