自身が代表を務める政治団体が雇用調整助成金を受給していた問題で内閣官房参与を辞任した石原伸晃元自民党幹事長(64)が、地元事務所の家賃を妻が代表取締役を務める企業に支出していることが、「週刊文春」の取材でわかった。

石原氏は12月3日付で観光政策担当の内閣官房参与に就任したものの、自身が代表を務める「自由民主党東京都第8選挙区支部」で、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を対象にした雇用調整助成金を約60万円受給していた問題が発覚。12月10日付で、内閣官房参与を辞任していた。

 第8選挙区支部の政治資金収支報告書によれば、昨年8月24日以降、「敷金」「事務所賃借料」名目などで「株式会社アネモス」に支出している。

「石原氏は昨年、20年以上使っていていた地元事務所を引っ越しました。新事務所は7階の部屋で外から窺い知れない上、広さも以前の半分ほど。今年選挙があることはわかっていたのに、なぜわざわざ不便な部屋に引っ越したのか……」(支援者)

 新事務所は大手不動産会社が手掛ける高級マンションの一室。部屋の所有者が、アネモスだ。法人登記簿によれば、同社の代表取締役は石原氏の妻・里紗氏。アネモスは昨年7月29日、「推定価格5000万円」(地元不動産業者)とされるこの物件を購入していた。

 他方、第8選挙区支部は昨年8月24日に「敷金」として50万円、9月23日以降は「事務所賃借料」として月18万9750円をアネモスに支出している。

「単純計算した利回りは約4%。この超低金利時代に手堅い運用です。通常なら、借り手探しに広告を出すなど経費もかかりますが、夫の政治団体が即借りるとなれば、その手間もかかりません」(不動産関係者)

“妻の会社”に約160万円を“還流”

 第8選挙区支部は昨年後半だけで「敷金」「事務所賃借料」として、アネモスに計約163万円を支出。今年も同額の月額賃借料とすれば、現時点で計約370万円をアネモスに支出したことになる。

政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が語る。

「政治資金には税金を原資とする政党交付金が含まれています。石原氏のケースは税金を妻の会社に還流させ、安定的な家賃収入を得ている構図です。参与の高額日当を巡っても批判を浴びただけに、石原氏には説明責任が問われます」


 石原事務所に事実関係の確認を求めたところ、書面で次のように回答した。

「政治資金規正法に則って適正に処理しております」

 12月15日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および12月16日(木)発売の「週刊文春」では、妻の会社に政治資金を還流させている問題のほか、手狭な新事務所の様子や里紗夫人の人物像、さらに政治資金を自身の別荘がある葉山のホテルに支出している実態などについても詳報している。

文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/50759