2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市が29日、19年段階で総額3100億〜3700億円としていた開催経費を最大900億円削減し、2800億〜3000億円とする開催概要計画の修正案を公表した。今年の東京五輪で当初計画よりも経費が膨らんで批判が相次いだことを受け、負担を懸念する市民感情に配慮した。既存の施設を可能な限り活用し、建て替え費用も減らすという。

 削減の柱は、会場改修などの施設整備費の圧縮。「レガシー(遺産)」となる可能性の低い施設の建設を極力控え、コストダウンを図る。19年時は施設整備費を800億〜1400億円としていたが、最大600億円削減して800億円に設定した。また、2300億円としていた運営費も式典の簡略化などで最大300億円削減し、2000億〜2200億円に修正した。

 施設整備費の削減により、最大600億円としていた市の負担分は450億円に見直した。

 市は、来年3月にも全道民を対象に開催の是非を問うアンケートを行う。この結果を参考に、5〜6月に正式な概要計画をまとめる。

 秋元克広市長は15日の記者会見で「IOC(国際オリンピック委員会)から『既存施設を活用しコンパクトな大会を』と言われている。経費を小さく見せて、(開催が)決まったら増えましたというのは許されない」と述べていた。【土谷純一】

毎日新聞
2021/11/29 13:42
https://mainichi.jp/articles/20211129/k00/00m/050/110000c