立憲民主党の代表選に立候補した4氏による19日の共同記者会見では、ジェンダー平等や自民党との対立軸を巡る質問が出た。立憲民主党は枝野幸男前代表が選択的夫婦別姓制度の実現を与党との争点の1つに位置付けた経緯がある。「政治経済を良くするために、なぜジェンダー平等が大切だと思うのか?」と尋ねた本紙記者の問いに、4候補の答えは。(デジタル編集部)

 泉健太政調会長(47)は性別の違いについて「生きづらさがどんなところにあるのかが違うはず。多様な視点があるのがそもそも大事」と指摘。自転車の前後に子どもを乗せられるようにした自身の過去の取り組みを例に挙げ「前と後ろに子どもを乗せる自転車がバカ売れしている。新しい市場も生まれる」と経済効果を説明した。
 西村智奈美元厚生労働副大臣(54)は、コロナ禍で女性の非正規労働者が多く職を失ったことをに触れ「経済的な格差は非常に深刻。同一価値労働、同一賃金を実行していきたい」と力を込めた。男らしさ、女らしさを求められる社会の状況も問題視し、性別による役割分担を前提とした法律や制度をなくしていく意欲も示した。
 逢坂誠二元首相補佐官(62)は、農産物直売所でのメロン販売のルールを巡る会議の例を紹介。男性たちは糖度の基準を守っていない人たちがいることを指摘しなかったのに、女性たちが会議に参加すると「あんたたち糖度守っていないでしょ」と発言したと振り返り、「様々な議論、活動は多様性がある方が真実が見えていく」と実感を語った。
 小川淳也元総務政務官(50)は「明確に答えるのは難しい」としつつ「本当はそういう質問が出なくて済む社会がいいんでしょうね」と発言。ジェンダー平等と社会の仕組みや制度、文化との関係性を考える視点を示しながら「そういう問いが発せられなくて済む社会が、一番息苦しくなくて可能性に満ちた社会なんじゃないか」と述べた。
◆自民との対立軸は「人への投資」「庶民が元気に」
 別の本紙記者は「自民党との政策的な対立軸は何か」と質問。4氏からは国民への分配を基本とする姿勢の訴えが相次いだ。
 逢坂氏は「人への投資だと思います」と回答。教育への投資の効果を「経済の問題や地域課題、あらゆるものを解決するスイッチになる」と強調し、自民党を「そのことが分からずに、足元の利益ばかり気にしているように見える」と批判した。
 小川氏は「国家主義的な強者の保守政治か、普通に暮らす人々の立場に立った共感、対話を旨としたリベラルな気風を基調とする政治か」と庶民に寄り添う姿勢を強調。高度経済成長を背景に作られた「自助努力、自己責任のまま放置された社会制度」が残るとし、「新たな時代にふさわしい公助を整える」とも訴えた。
 泉氏は「自民党は権力者を強くする、権力者が元気になる方向性を持っているんじゃないか」と指摘。立憲民主党の方向性を「庶民が元気になる、国民が元気になる」と語り、「国民の経済、生活、地域の経済を強くしていくのが、自民党と異なる考え方だと思っています」と述べた。
 西村氏も「自民党政治は自己責任論に傾いている。新しい資本主義は、企業価値、株主価値重視に傾いているように読めます」と語り、「誰か一人の人が超大金持ちになる政策ではなく、みんなで分配して、頑張れる足場をつくる、土台をつくるのが私たちの政策」と主張した。

東京新聞
2021年11月19日 16時02分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/143694