東京都の小池百合子知事(69)が「過度の疲労」を理由に入院してから3週間弱。すでに退院し、現在は自宅静養も兼ねたテレワーク中とされるが、政府・与党筋に「再入院・都知事辞任」説が、急速に広がっている。仮に手術や先端医薬投与による長期入院が不可避となれば、現場復帰のメドとされてきた都議会(12月定例会)への出席が絶望的となり、「年内にも知事を辞める可能性がある」(与党関係者)。5年前の都知事就任から国政をも揺るがす「政局の目」であり続けてきた小池氏の去就が、年の瀬を前に騒がしくなってきた。

本格的な治療のため再入院か

都の発表などによると、小池氏は「過度の疲労で1週間程度の静養が必要になった」として、10月27日に都内の病院に入院。退院した11月2日には「医師の判断により週内は自宅療養とし、その後2週間程度はテレワークで公務にあたる」と説明していた。このため都庁内では11月中の現場復帰が見込まれていたが、関係者によると「退院後も病状が改善せず、再入院による本格的な治療を検討している」というのだ。

小池氏は都議選の告示直前の6月22日にも「過度の過労」を理由に約1週間入院したが、この時は退院3日後に自身が特別顧問を務める「都民ファーストの会」の候補者の事務所を回り、「都議選での自民圧勝を阻止した『実績がある』」(自民都議)。

このため衆院選投票日の目前(10月27日)、6月に続く2度目の入院が発表された時は「衆院選後の政局を睨んだ一時的な雲隠れではないか」(官邸筋)との見方が強かった。

しかし小池氏周辺の1人は、都議選後の小池氏の様子について「周囲を威圧するような独特の雰囲気が急に感じられなくなり、相当無理しているのではないかと心配していた」と打ち明ける。過去には、小泉内閣の環境大臣だった2006年にも急性肺炎で入院したことがあり、10月の入院前も記者会見や議会答弁で咳が続くなど「免疫力が低下し呼吸器系の機能が低下しているのは明らか」(同)だった。

「都知事」奪還に執念燃やす自民党

「実は11月2日に退院する際、主治医から『まだ早い』と指摘されたが、小池氏本人の強い意向で自宅療養に切り替えたと聞いている」と、自民党関係者は明かす。

衆院選投開票日の翌々日の「強行退院」には、前回の都議選と似た「小池劇場」の自己演出の側面もあるのだろうが、病状悪化は隠しようもなく、「側近の秘書らが再入院を説得している」(関係筋)と囁かれる。小池氏の病状を巡る風評は、与党筋からや都庁内にも伝わり始めており、一部では「肺がん説」も囁かれる。

都議会関係者は「都議会定例会が閉会する12月中旬までに現場復帰できなければ、辞任せざるを得ないだろう」と指摘する。来年夏の参院選前に都知事選が行われる事態となれば、国政(与野党の構図)への影響は必至。都知事の座の奪還に執念を燃やす自民党は、水面下で「ポスト小池」の候補者選定に着手し始めたようだ。

FACTA
11月14日 21:20
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