第2次岸田内閣発足から一夜。さっそく官邸で岸田総理が出迎えたのは・・・菅前総理。菅前総理にコロナ対策などで今後も協力を求めたということです。衆院選を乗り切り、岸田カラーを打ち出したい政権ですが、“10万円相当の給付金”をめぐり、10日の総理の記者会見が思わぬ波紋を広げています。

 11日、岸田総理はデジタル技術による地方の活性化をめざす「デジタル田園都市国家構想実現会議」の初会合を開催しました。

岸田首相
 「デジタル技術の活用により、地域の個性を生かしながら、地方を活性化し持続可能な経済社会、実現してまいります」

 岸田総理は、デジタルインフラなど成長分野の投資を強化したい考えで、年内をめどに政策を取りまとめる方針を示しました。「成長と分配の好循環」を看板政策に掲げる岸田総理。10日の記者会見では・・・

岸田首相
 「子育て世帯に対しては、年収960万円を超える世帯を除き、18歳以下1人当たり10万円相当の支援を行います」

 「年収960万円未満」の世帯を対象に、年内に現金5万円を給付した上で、来年の春に向けて子育てに使える5万円相当のクーポンを支給する方針を表明しました。今回の「所得制限」については児童手当の仕組みを利用する方針です。その仕組みをそのまま当てはめると、夫婦のいずれかの年収が960万円を超えている場合、給付の対象外となります。

例えば夫婦と子ども2人の世帯で、夫の年収が970万円で妻が専業主婦で収入がない場合には給付の「対象外」になります。しかし、夫婦共働きで両方が「年収950万円」の場合は、世帯としての年収は1900万円にもなりますが、支給の対象となるのです。こうした政府の方針には不満の声も・・・
 「岸田さん、期待していたんだから、がっかりさせないでよ」
 「うちには子ども3人いるのに、所得制限で給付金無しとはあまりにも不公平すぎます」

記者
 「なぜ18歳以下なのか、全国民一律ではない理由も分からない。つまりすでに分断しています」
岸田首相
 「より困った方に焦点を当てながらも、18歳以上の方々に対する支援も、この全体の中に盛り込んでいる。国民の皆さんに納得していただくよう、努力を続けていかなければならない」

 一方、野党側は「どういう哲学、狙いがあるのかわからない」などと批判しています。

立憲民主党 長妻 昭 副代表
 「経済対策なのか、困窮対策なのか、そこの軸足が相当な財源を使うわけですので、ちょっとはっきりしない」

 そしてもう一つ、明らかになったのが学生向けの支援です。

男子学生
 「コロナ禍での経済的な理由によって、学校を退学せざるをえなかったりするっていうケースも聞いたことはあるので」

 コロナ禍でアルバイト収入などが減少し、学び続けることが難しくなる学生も・・・。そうした人たちの声を受けてか・・・

岸田首相
 「コロナ禍で厳しい経済状況にある学生に対しても、就学を継続するための10万円の緊急給付金を支給いたします」

 岸田総理は経済的に厳しい学生にも10万円を給付すると表明したのです。

女子学生
 「10万円とか大金というか、なかなか使えない金額だったりするので、もらえたら嬉しいなというか、使いたいなとは思いますね」

男子学生
 「まず生活費、ちょっとあてて、後はコロナで楽しめなかった分、楽しむって感じですね」

 ただ、ここでも線引きが課題です。実は、去年も生活が苦しくなった大学生や専門学校生などに、10万円が支給されました。ただ、▽一人暮らしで、▽アルバイト収入が半分に減った人などに限られ、およそ360万人の学生のうち支給されたのは43万人程度でした。さらに、今回はもう一つ、住民税の非課税世帯への給付も決まり、あわせて3種類の10万円給付が行われる予定です。

 ただ、疑問の声も・・・。

 若者の労働問題などに取り組むNPO法人「POSSE」の事務局長は、今回の給付が必要な人たちに行き渡らず、不十分なのでは、と話します。

NPO法人 POSSE 渡辺寛人 事務局長
 「働きながら苦しい状況にある人たちには、お金が届かないんじゃないか、(家賃や学費など)負担の部分を下げていくような施策が重要になってくるのではないか」

 本当に困っている人たちへの継続的な支援が求められています。

TBS NEWS
11日 17時25分
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4403012.htm