甘利幹事長が消えた。自民党は公式サイトに岸田首相をはじめ、幹部クラスの全国遊説日程を連日掲載しているが、28日分から甘利氏の名前が抜け落ちた。

 その姿は地元・神奈川13区(大和市など)にあった。東急・小田急両線が乗り入れる「中央林間」駅。選挙区内の主要駅前で甘利氏はナント、朝6時半から道行く人々に頭を下げていたのだ。

「選挙活動で拡声器を使えるのは、公選法の規定で午前8時から。その1時間半前からマイクも握らず“朝立ち”とは驚きました」(地元住民)

 その後も数カ所で街頭演説をこなすなど精力的に動いたが、甘利氏は「党の顔」である幹事長。同僚の応援に全国を駆けずり回る立場だ。本人も地元決起大会を開いた21日には、自身のツイッターにこう投稿していた。

〈選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます〉

 その1週間後に余裕の“つぶやき”を撤回し、異例中の異例の地元入り。何があったのか。

「甘利さんは『隣の選挙区の自民候補が危ないから』と言い訳しているようですが、間違いなく自分の選挙のためです。あるメディアの情勢調査で立憲新人で一騎打ちの太栄志候補に猛追されていることに相当ショックを受けたらしい。他人の応援をしている場合ではないと、選挙戦最終日の30日まで地元に張り付く予定です」(自民党関係者)


■「デス応援」消滅に同僚は安堵感

 選挙終盤に2時間どころか、3日間も地元ベタ張りとは甘利氏の焦りが手に取るように分かる。モノトーンで渋く決めた選挙掲示板の“ナルシスポスター”(写真上)も評判が悪いのか、全面張り替え。オーソドックスな選挙ポスターに直した。

 甘利氏が応援に入っても常に口利きワイロ疑惑がつきまとい、逆効果。「応援を受け入れれば無党派層が離れる」と“デス応援”に戦々恐々だった自民候補は、ホッとしているに違いない。

日刊ゲンダイ
21/10/29 14:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296749
https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/296/749/74348fddfaaa8b9bfeaa42a4501621c620211029114318460.jpg