衆院選の前哨戦として注目された参院静岡選挙区補選は無所属新人で前県議の山崎真之輔氏(40)=立民、国民推薦=が勝利した。岸田首相が告示後2度も県内入りするなど、総力を挙げた組閣後初の国政選挙の1つを落とした自民は、衆院選へ向け巻き返しを迫られる。
 山崎氏が立民、国民両党の支持層に加え、保守層の一部や無党派層にも食い込んだのは、支援した川勝平太知事の存在が大きい。「県民党の党首」を自称し、6月の知事選で圧勝した川勝知事が無党派票の獲得に貢献した。知事の影響は県内に限られ、全国に波及するかは未知数だ。
 自民は知事選での大敗が響き「厭戦(えんせん)気分」(陣営関係者)から脱しきれなかった面もある。参院広島選挙区の再選挙など国政3選挙、静岡県知事選、横浜市長選で全敗した負の連鎖は選挙の顔を変えても断ち切れなかった。
 自民陣営は「新型コロナ対応へのいら立ちは解消されておらず、爆発的な期待感も(岸田)自公政権にはない」と受け止める。1週間後の衆院選に向け、野党には弾みに、自公には逆風となった。(静岡総局・大杉はるか)

東京新聞
2021年10月25日 00時32分
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