菅前首相にとって悪夢の再来か。19日公示された衆院選で、菅前首相が出馬している神奈川2区に“ハマのドン”こと藤木幸夫・横浜港ハーバーリゾート協会会長が殴りこみ。菅前首相が推した候補が野党系候補に惨敗した8月の横浜市長選でも藤木会長は菅前首相と対峙。衆院選スタートで「第2ラウンド」のゴングが鳴った。

 菅前首相の対抗馬として同選挙区に立つ野党統一候補の岡本英子氏(立憲民主党)が19日、横浜市内の選挙事務所で行った出陣式。応援に駆けつけた藤木会長は集まった聴衆を前にこう話した。

「市長選では、この2区(西区、南区、港南区)で、(与党系候補に)計約2万票の差をつけさせていただいたので、そのお礼で参りました。市長選の時と同じように、今回も(野党系の)岡本さんに通って欲しい」

 冷静な口調で語った藤木会長だったが、出陣式終了後、記者に「岡本さんに通って欲しいということは、菅さんが落選するということですよね」と聞かれると、「そんなの当たり前じゃないか!」。議員秘書時代から菅前首相の面倒を見てきた“ドン”だが、戦う気満々のようだ。

菅前首相支援の小此木氏はボロ負け

 横浜市長選では、カジノを含む統合型リゾート(IR)の市への誘致に反対していた藤木会長が、推進する菅前首相とガチンコのバトルを展開。菅前首相が支援した小此木八郎・元国家公安委員長は、藤木会長が応援した現市長の山中竹春・元横浜市立大教授に18万票差でボロ負け。菅退陣の引き金となったのだった。藤木会長はこれまで「自民党はアウト。IRを推進する議員や首長は全員落とす」と話したこともあった。今回も容赦なく菅前首相を潰しにかかる可能性が高い。

 一方の菅前首相は19日、側近の坂井学・前官房副長官(神奈川5区)の応援名目で、地元・横浜市で第一声。「マスコミは私のことを『ワクチン一本足打法』と揶揄していた」とぶんむくれ、「接種が進むにつれて、猛威を振るったデルタ株、勢いがなくなってきたじゃないですか! ワクチンは効くんです!」とブチ切れ。その後、自分の選挙区で街宣した。菅前首相ほどの大物なら、普通は地方の応援に入るものだが、ホームで選挙活動とはよほど焦っているのか。

「第2ラウンド」は意外な結果になるかもしれない。

日刊ゲンダイ
2021/10/20 14:15
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