岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問が12日、衆参両院の本会議で行われた。自民党の世耕弘成参院幹事長から、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」と安倍政権の経済政策「アベノミクス」との関係について問われ、首相は「『新しい資本主義』はアベノミクスも基礎とした新しい概念だ」と述べ、アベノミクスを修正するものではないと強調した。

 消費税減税に関しては、「社会保障の財源として位置付けられており、当面触れることは考えていない」と否定的な考えを示した。共産党の志位和夫委員長らが新型コロナで困窮する人たちへの負担軽減策として消費税率5%への引き下げなどを求めたのに対し、答えた。

 国民民主党の玉木雄一郎代表らは、首相が自民党総裁選で掲げた「令和版所得倍増」計画が所信表明演説に盛り込まれなかった理由を質問した。首相は「所得を全体として引き上げるという、私の経済政策の基本的な方向性を申し上げた」と、実際の「倍増」ではなく所得水準の底上げを図る考え方だと主張した。

 新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、首相は「早ければ12月に開始することを想定して準備を進める」と表明。3回目も全額を公費負担する方針を示した。

 公明党の石井啓一幹事長は18歳以下の子どもに1人当たり10万円相当を支給する同党公約への見解を質問。首相は「経済対策の検討を進める中で、与党における協議も踏まえながらまとめていく」と前向きに検討する考えを示した。(村上一樹)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/136426