れいわ新選組の山本太郎代表は11日、横浜市で街頭演説し、次期衆院選で東京8区に立候補する方針を取りやめると表明した。山本氏は8日に立候補を表明したが、れいわと候補者調整を検討していた立憲民主、共産両党から困惑の声が上がり、方針転換に追い込まれた。

 山本氏は11日、「これまで活動してきた方々との間で『勝手に入ってくるな』と大きなハレーションが起きた。すでに活動し、それを支援してきた人々の声を受け止める」と立候補取りやめについて説明した。

 山本氏は2012年の衆院選で東京8区から無所属で出馬し、自民党の石原伸晃元幹事長に敗れた。今月8日には「リベンジ」として同区から立候補する考えを表明したが、立憲、共産との協議がまとまっていなかったため両党に困惑が広がっていた。

 立憲の枝野幸男代表は10日、「(東京8区の立憲新人や支援者が)涙ぐましい努力を積み重ねてきたので困惑している」と埼玉県東松山市で記者団に述べた。また、共産幹部によると、共産側に山本氏から東京8区での出馬意向が事前に伝えられていなかったという。志位和夫委員長は11日の記者会見で「山本氏から一切、(一本化の)要請はなかった。対応は今後よく検討していく」と述べた。

 立憲、共産、社民、れいわの4党は政権交代の目標に向け、できるだけ候補を一本化する考えだ。ただ、立憲、共産両党は約70選挙区で候補者が競合する両党間の調整を最優先しており、山本氏の発表に、立憲支持者らはツイッターで「地元で地道に活動を続けてきた人こそ候補者にふさわしい」「民意を無視して密室で勝手に決めている」と批判を寄せていた。

 れいわは衆院選の小選挙区に20人を擁立する予定で、立憲や共産と競合する選挙区も多い。れいわ関係者によると、れいわが一部選挙区の新人を比例にくら替えさせる可能性もあり、立憲や共産と競合する静岡2区など4選挙区で選挙区調整を進めているという。【佐野格、宮原健太】

毎日新聞
2021/10/11 20:15
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