菅首相の総裁任期満了に伴う自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)で、立候補者の出馬準備が加速する中、福島県内でも投票の準備が始まった。新総裁は次期衆院選の行方に大きく影響を与えるだけに、投票権を持つ県選出の国会議員や党員は候補者の支持の広がりに神経をとがらせている。県連内部には「現政権では世論の批判に耐えられない」との声も上がる。

 自民党県連は27日、総裁選の日程決定を受け、総裁選選挙管理委員会とその後に迫る次期衆院選の選挙対策本部を設置した。

 「衆院選の日程はまだ流動的だが、党員の思いがしっかり届くように進める」。渡辺義信・県連幹事長は県庁で表情を引き締めた。

 安倍前首相の後継を選んだ昨年9月の総裁選では、県選出の国会議員の多くが菅首相を支持した。党員・党友による予備選挙をへた県連代表者3人の票は菅首相、石破茂・元幹事長、岸田文雄・前政調会長に1票ずつ分かれた。通常選挙に戻る今回は国会議員票に加え、世論の影響がより反映される全国一斉の党員投票(383票)が実施される。

 県内各地で4月以降、総裁選とその後の衆院選をにらみ、現職議員と党本部幹部らが並ぶ「2連ポスター」が見られるようになった。衆院議員の任期満了が近づき、公職選挙法の規定で単独ポスターの掲示が禁止されるためで、根本匠・元厚生労働相(2区)が選んだのは自身が派閥の事務総長を務め、総裁選出馬を表明した岸田氏だった。

 さらに、残りの4区でも菅首相とのツーショットを選んだ国会議員はいなかった。県連幹部は「長期政権を維持した安倍前首相は存在感があったが、感染拡大に歯止めをかけられず、批判を受けている現首相と並んでも衆院選でメリットはないだろう」と語る。

 一方、野党はコロナ禍での初の衆院選に試行錯誤しながら準備に奔走する。立憲民主党県連の亀岡義尚幹事長は「誰が総裁になっても衆院選は必ず来る。いつ解散しても対応できるよう粛々と準備するまでだ」と話す。共産党県委員会の町田和史委員長は「菅政権のコロナ対策は人災であり、受け入れがたい。今は国会を開いて徹底的に議論すべきだ」と糾弾した。

読売新聞
8/29(日) 13:50
https://news.yahoo.co.jp/articles/3022f0d4c4e611c050804dd819a04a78bcf93347