東京五輪・パラリンピックで来日した関係者の一部が、宿泊する東京都内のホテル周辺で「路上飲み」を続け、住民の不安を招いている。本紙に提供された動画ではホテル近くで7人が飲酒。撮影した50代女性は「毎晩『密』になって飲んでいる。感染拡大につながらないか」と懸念する。
 動画は14日に台東区内のホテル近くで撮影。大会の専用車両が止まる駐車場で外国人らしき男性たちが缶ビールなどを飲んでいる。歩道にはみ出したり、地べたにすわったりしており、1人は大会関係者を示す「ADカード」を首からぶら下げていた。
 ホテルは本紙の取材に、宿泊する関係者が「路上飲み」をしていることを認めた。4〜5月に来日し、競技会場の設営に従事する作業員という。ホテルのマネジャーは「隔離期間は過ぎているが、住民から苦情があり、路上飲みをしないように責任者にお願いしている。ただ一部の人は守ってくれない」と嘆く。
 16日に現場を取材すると、路上で5人が飲酒しており、14日に写っていた人もいた。ドイツ人の男性は大会関係者であることを認め、「ビールを飲める店がどこも開いていない。われわれはワクチンも接種しているし、感染の不安はない。何が問題なのか」と話した。大会の行動規範「プレーブック」には、人との接触をなるべく避けるよう記されているが、男性は読んでいないという。
 動画を撮影した女性は「住民からすると、誰が隔離期間を過ぎているのか分からない。コロナ禍で五輪関係者を怖がる日本人の気持ちも理解してほしい」と訴えている。(原田遼)

東京新聞
2021年7月17日 20時43分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/117413